「被曝者を避難させる移動式のロボット医療モジュールを開発する試みは存在するが、今のところ成功していない」とサドーヴニチィ学長は指摘する。
学長によると、現在では放射線被曝者の避難には、例えば交通手段や廊下、病室を「包む」ポリエチレンフィルムなど、さまざまな即興的手段が用いられている。同氏は「これでは完全な隔離は保証できない。しかも利用にコストがかかる。しかし、我々には悪くないプロジェクトがある。モスクワ大学で開発された医療ロボット『アンゲル』(”天使”)をベースに、放射線熱傷を負った人を遠隔操作で救護するシステムと、避難用の移動式医療モジュールを作っている」と説明する。
「アンゲル」(”天使”)は、2017年に専門家らが公開した医療ロボットで、血圧、体温、血中の酸素濃度を測定し、必要な薬の分量を特定する。「アンゲル」はまた、10の重篤な症状(卒中、昏睡など)を特定し、病院の医師に伝えることができる。ロボットは手動または自動モードで動くため、例えば放射能汚染された場所など、極めて危険な条件下にいる負傷者を救護するのに使用できる。