新しいロシア海軍のフリゲート艦「メルキューリー」とはどのようなものか

Artem Tkachenko (CC BY-SA 4.0)
着工されたこのフリゲート艦は、甲板の下に最新のロシア製艦載砲を搭載している。

 最新式の20386型艦は2022年までに艦隊に編成される予定となっている。このフリゲート艦は、最新の極超音速ロケット「ツィルコン」を搭載した初めての艦艇となる。

 この艦の主要な任務は、敵の艦艇や潜水艦の発見と破壊である。加えて、民間籍の船舶の護衛や、必要に応じて沿岸を強襲する海軍歩兵を艦砲射撃によって援護することも可能だ。

当事者の視点から

 新しいフリゲート艦はこれまでのものと比べて少なくとも15㌫は速くなっている、とこの艦艇の設計副主任のアレクサンドル・ダディキンは「ズヴェズダ」チャンネルの放送で語った

 この高速化を可能にしたのは、形状の改良である。これによって効率よく波をかき分けて進むことができるようになった。また、複合材料を用いることで速度を上げることに成功した。

 また彼は最新鋭の電動機付きのガスタービン機関を二機搭載していることを強調している。

 問題となっているのはアジポッドと呼ばれるアジマススラスターを利用した動力機関の変更である、と軍需複合産業の情報筋がロシアビヨンドに対して語ってくれた。

「この設備は船体の外側に取り付ける特別な装置で、中には付属の電動機とスクリューが含まれている。そのおかげで任意の方向へ船を動かすことができる。実際に、それによって船は様々な方向に動くことが可能になり、何トンもの巨艦を青天の霹靂のように展開させられるのだ。この装置は船の操作性を向上させるものだ。」とこの情報筋は話してくれた。

 全体としてこの艦の動力は5万5千馬力を越える。「我が国のこの艦級のフリゲート艦としてこの数字は初めてだ」とダディキンは話す。

 この革新的な技術によって20386型フリゲート艦はロシア艦隊の主な新規艦になるだろう。

 また、この艦艇には甲板の下に魚雷を備えたKa-27ヘリコプターが艦載されているという点で新しい。このヘリコプターは敵のレーダー探知機に検知されず、必要な時に専用のタラップを用いて甲板に上昇し、任務のために飛び立つのである。

 前述の設計者によると、「メルキューリー」は初めての「モジュラー型」の艦艇である。それはすなわち、艦艇の基本設計、「内部」や区画などの変更を行わず設備の変更だけを施したということを意味する。

 同時に、この艦艇の武装は攻撃と防衛の両面において最新鋭のものが配備されている。

この新型艦艇の武装

 この20386型フリゲート艦には、4つの発射台と8つの対艦ミサイルが搭載されている。ここには世界で初めての極超音速ミサイル「ツィルコン」が使われることになっている。このミサイルは500キロメートル以内の目標に対して、音速の八倍の速さ(毎秒2.5キロメートル)で飛行する。

「このような対艦ミサイルはロシアを含め世界中のどこの国にもまだ配備されていないという点で注目に値する。また現在、このミサイルに対する有効な対抗策がないこともまた「ツィルコン」とその搭載艦を唯一特徴あるものにしている」と新聞「イズヴェスチヤ」のアナリストであるドミトリー・サフォノフはロシアビヨンドに対し語ってくれた。

 彼によれば、それに加えて高射砲「レドゥト」、ミサイル「イグラ」や、現代の艦艇の走行をも貫通する30㍉六連発機関銃も搭載される。

「魚雷から船体を守るために直径330ミリメートル砲が搭載されている。また陸への強襲用に100ミリ榴弾砲A-190が備えられている。この榴弾砲は一分間に80発発射することができ、岸を穴だらけにすることができる」とサフォノフは付け加える。

 専門家が指摘するように、20386型フリゲート艦に搭載されるような武器システムを備えた同様のフリゲート艦は世界のどこにも存在しない。そのことが「メルキューリー」を唯一無二のものにしているのだ。

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