ゼロから分かるSu-57第5世代ジェット戦闘機

テック
イーゴリ・ロジン
 Su-57戦闘機は、どのような点で米国や中国の第5世代ジェット戦闘機に勝るのか。そしてNATO(!)のために戦うことになるのはいつか。

NATO初のロシア製戦闘機になるかもしれない

 2019年8月にモスクワ郊外で開かれたMAKS-2019で、ロシアのプーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がSu-57を見物した。両首脳はNATO加盟国であるトルコが同機を購入する可能性についてさえ話し合った。

米国随一のジェット戦闘機に対抗し得る唯一の戦闘機である

 Su-57は世界で2番目に完成した第5世代ジェット戦闘機である(中国の「成都J-20」の開発途中だ)。

 Su-57は、米国の史上最高の戦闘機であるF-22ラプターとf-35ライトニングIIに対抗する戦闘機として開発された。

Su-57の開発史

 同ジェット戦闘機の開発は、21世紀初めに始まった。

  それから10年を経た2010年、同機は初めて空を飛んだ。

  初め、このプロジェクトは各方面から批判を受けた。さまざまな問題が原因で、第5世代ジェット戦闘機の要件を満たさないというのが理由だった。最大の問題の一つがエンジンだった。

 何年もの間、同機は前世代の「心臓」を用いており、試験の際には満足のいく飛行性能と空中戦性能を示すことができなかった。だが2018年末にこの問題が解決され、Su-57の量産が始まった。

Su-57のエンジンは野獣である

 同ジェット戦闘機は新世代のジェットエンジンを搭載しており、アフターバーナーモードでなくても超音速まで加速し、飛行中ずっと超音速を維持することができる。

 同機は、空中で巧みな操作や曲芸をこなしながら時速2000キロメートル以上の速度で飛行できる。そのため、敵のミサイルや砲撃をかわすことができる。

レーダーに検知されない

 概して、第5世代ジェット戦闘機の開発における最大の難点は、現代の防空システムに検知されないようにすることである。

 これを実現するため、技師らはすべての兵器(誘導・非誘導ミサイルおよび爆弾)を機体内に隠す必要があった。また、機体の製造に際しては最も高価な複合材料を使用せねばならなかった。

 これらの課題は極めて難しい。空中戦時に全速で曲芸飛行をこなしながら、過積載状態に耐えなければならないからだ。

兵器も一流である

 Su-57は、空対空ミサイルと空対地ミサイルの束と、30 mm砲を搭載している。先述のように、こうした兵器は翼下には吊るされず、機体内に収納される。

 シリア戦役の間、ロシア空軍は第5世代ジェット戦闘機に搭載され得る一連の武器を試験した。とりわけ、OFZAB-500焼夷榴弾やODAB-500PMB燃料気化爆弾がSu-57の搭載兵器として検討されている。

 Su-57用の兵器として、超音速ミサイル技術も開発中である。この開発作業の成果は2020年代初めに発表される予定だ。

ロシア軍にはSu-57戦闘機が76機納入される

少なくとも、ロシア空軍が発注している数はこれだけだ。

Su-57は一機で3440万㌦(!)する

 しかし、これは噂に過ぎない。いずれにせよ、これは一機1億4620万㌦(!)するライバルの米国製F-22ラプターのおよそ5分の1の値段だ。

Su-57とF-22、優れているのはどちらか

 どちらの第5世代ジェット戦闘機も傑作である。しかし比較すると、両者に長所と短所があることが分かる。

 各国の航空専門家の指摘によれば、空中戦ではSu-57のほうがF-22やF-35ジェット戦闘機に比べて遥かに操作性が高い。評論家によれば、F-22とF-35ジェット戦闘機は、高価なステルス技術を使用したのと引き換えに、飛行性能が格段に悪くなってしまったという。

 彼らの考えでは、米国のF-22とF-35はほとんどレーダーに映らないが、万一発見されれば、空中での攻撃をかわせる可能性はSu-57よりも低い。

Su-57はどこに配備されるか

 同機はロシア全国に配備される。だが、ロシアの同盟国の領内や国外のロシア軍基地に配備される計画は今のところない。