パリ航空ショーでロシアは何を披露したか

CC BY-SA 4.0

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Vladimir Malyarenko
 ロシアの航空産業が、ヘリコプター「アンサト」と水陸両用機Be-200でラテンアメリカと東南アジアの民間市場に乗り込む。

 フランスのル・ブルジェで開かれたパリ航空ショーで、ロシアの航空産業が自国製品を出展した。2014年のクリミア併合によってロシアとヨーロッパとの関係が冷え込んで以来初めてのことだ。ただしロシアが航空ショーで披露した製品は「民間用」と軍民両用のものに限られる。ロシアがNATO加盟国から軍用機の注文を受ける見込みはあまり大きくないからだ。

 今年ヨーロッパ最大の航空ショーで披露されたのは、ヘリコプター「アンサト」と水陸両用機Be-200だ。

救助隊用飛行機

Be-200

 Be-200は、非常事態省の救助隊用の水陸両用機だ。森林火災の鎮圧や、アクセス困難な地域で被災した人々の救出に活用される。

 水陸両用機の主な特徴は、着水に際して水を汲み上げ、タンクを満杯にして水面から離水することだ。こうした飛行機の主な注文主となり得るのは、大きな河川と貯水池がある国の機関だ。例えば、東南アジアやラテンアメリカの国々である。

 この飛行機は軍民両用だ。タンクには最大12トンの水を汲むことができ(給水タンクは8つの区画に分かれており、同時または順次給水することができる)、かつ最大8トンの貨物を輸送することもできる。

 Be-200の興味深い事実は、開発当初同機の部品調達や用途を巡ってさまざまな案が出されたことだ。同機を欧米市場で売り込むため、一時はエンジンの開発に関してロールスロイス社と協議が行われたこともあった。

 しかしその後ロシア国防省と非常事態省の指導部が、政治的要因で製造に支障が出ないよう国内の企業に製造を任せることを決定した。

ヘリコプター「アンサト」

ヘリコプター「アンサト」

 最大積載量1.3㌧、乗員9名の「アンサト」は、軽ヘリコプターに分類される。

 同機は620馬力のエンジンを2基搭載したシングルローター式のヘリコプターだ。複合材料でできた胴体に、端に安定板の付いた水平尾翼を持つテールブームが滑らかに続いている。

 「アンサト」は、装備に応じて民間輸送(旅客・貨物)にも、ある地域の哨戒活動にも、捜索・救出活動にも利用できる。一度給油すれば、同機は巡航速度時速240㌖で520飛行できる。上昇限界高度は、積載量にもよるが、約6000㍍だ。

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