An-2はNATOの分類では「コルト」と呼ばれ、ソ連とロシアでは「アンヌシカ」(「アンナちゃん」)という優しい名前か、あるいは単に「トウモロコシ男」(農薬散布機)と呼ばれた。
1962年6月30日。キンディアでバナナの畑の受粉を行なっているソ連の飛行機、An-2。
セルゲイ・プレオブラジェンスキー撮影/TASSこの飛行機は1947年に当時ノヴォシビルスク(モスクワから3300キロメートル東)にあったアントーノフ設計局で作られた。当初は農業作業用の飛行機として開発されたが、年月を経るうち、他の多くのことにも応用できることが分かった。
水上機An-2Bが地質学者のキャンプへ貨物を運ぶ。
L. ヴァイスマン撮影/Sputnikこの飛行機はスポーツ、貨物・旅客輸送に用いられている。軍事用に装備を改められたものもある。そして多くの軍事紛争に用いられた。
ウスリースクのスヴォーロフ軍事学校生徒が沿海地方ノヴォスィソーエフカ村の飛行場で初めてパラシュート降下をしている。左にはAn-2が映っている。
ヴィターリイ・アニコフ撮影/SputnikAn-2は50以上の軍隊で運用されてきた。レーダーに探知されない超低空飛行も可能なため、偵察機としても用いられている。
オレグ・アントーノフの発明品は、10~12人の乗客か、1000キログラムの貨物を載せることができ、ほとんどあらゆる場所へ届けることができる。整備されていない滑走路から驚くほど短い滑走距離で離着陸できるからだ。
極北の達成しにくい場所へ食材や郵便物を配送するために使われているAn-2。
V.ヤコヴレフ撮影/Sputnikメンテナンスが容易で効率性が高いことから、この飛行機はシベリアや極東、中央アジアなどのソ連内の僻地への主要な輸送手段として用いられた。
この飛行機の複葉は、多くの風を生み出すように設計されている。これにより短い滑走距離で離陸することができ、向かい風の時はホバリングや後ろ向きに飛ぶことも可能だ。
An-2は時速40キロメートルという低速で飛行することができ、パラシュート降下やスカイダイビングに適している。
これまでにソ連とポーランドで19000機のAn-2が製造されたほか、数千機が中国で生産されている。60年以上も製造が続く唯一の飛行機として、ギネス世界記録に認定された。
BBCのある記者が表現したように、「An-2がベルリンの壁の反対側で開発されていたら、その柔軟性あるデザインは、現状よりずっと有名になっていただろう」。
現在ロシアはAn-2を最新化することを検討している。最大積載量を3000キログラムにまで増やし、平均速度を時速350キロメートルにしたTBC-2 DTSという複葉機が提案されている。
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