テレグラムがICOの実施を計画しているというニュースは、それほど驚きではなかった。昨年、このアプリは、グローバルな仮想通貨コミュニティのコミュニケーションの場として、最も人気があったからだ。ほぼすべてのブロックチェーン(分散型デジタル台帳)・ベースのビジネスは、このアプリでチャットをしている。雨後の筍のように、絶えず新たな仮想通貨コミュニティがテレグラムに登場している。
こうした状況を受けてついに、アプリの創始者であるパーヴェル・ドゥーロフは、仮想通貨関連の成功を活かすことに決めた。テレグラムのホワイトペーパーをあなたはお読みになっただろうか?そこには、同社がICOで仮想通貨の世界を変えようとする、5つの戦略が示されている。
1. 世界初の仮想通貨の大経済圏を創出する
ビットコインは投資には便利だし、イーサリアムはICOでは効果的だったが、人々が日常生活で使用するようなスタンダードな仮想通貨は存在しない。テレグラムは、ふだん使われているお金の代替物になる、分散型の真の大市場を創り出すと約束している。それはVISAやMastercardに取って代わるかもしれない。2018年の第1四半期には、このサービスは、毎月2億人のユーザーを生み、グローバルな普及へ向けて十分な弾みがつくと期待されている。
2. 取引のスピードを高め、コストを削減する
テレグラムのホワイトペーパーによると、現状では、仮想通貨のトランザクションは、ビットコインでは最大7回/秒、イーサリアムでは15回/秒が限度だった。速度は不十分で、取引コストも高くついた。テレグラムは、毎秒数百万件のトランザクションを処理する速度とスケーラビリティ(柔軟性)を約束している。
3. ブロックチェーン上のユーザーIDの保護
仮想通貨のユーザーの大半はすでに、テレグラム・アカウントを持っているので、アプリは安全なユニバーサルIDを提供する。一度認証を通過すると、ユーザーは仮想パスポートを取得して、サービスにログインできる。
4. 新しい市場を創出する
テレグラムのオープンネットワークは、迅速かつ安全なブロックチェーンで、独自の壮大なネットワークプロジェクト。数百万のパブリックチャットのグループとブロードキャストチャンネルが含まれている。それらのなかのいくつかは、数百万の登録者を有する。
そうしたチャンネルのクリエイターは現在、広告を掲示して収益を得ようとしている。ICO後、テレグラムは広告交換を開始する。そこで、プロジェクトのプロモーションに関心を抱く当事者が、それに関連するチャネルの所有者とコンタクトをもつことができる。
5. 新しい分散型アプリとサービスを推進する
テレグラムは、単なるメッセージアプリを脱却して、インターネットベースのコンテンツを管理するプラットフォームになろうと努力している。ユーザーは、少量の仮想通貨の支払いでニュースや購読にアクセスできるようになるだろう。開発者は、テレグラムが創造しようとしているブロックチェーン・プラットフォームの上に、自分のアプリとサービスを構築することができるだろう。このプロジェクトの主な目標の一つは、「大衆向けのブロックチェーンベース・プロジェクトへのゲートウェイになること。それはGoogle PlayやApp Storeに似たものとなるだろう」。以上がテレグラムの戦略と見通しだ。