トムスク国立大学(トムスクはモスクワの東2900キロに位置する)の研究者らがノヴォシビルスク近郊のヴォルチヤ・グリヴァで、ユーラシアで最大規模となるマンモスおよびその他の絶滅動物の死骸の密集地を発見した。そこで見つかったのは、これまでにない数の背骨、肋骨、その他の骨や身体の一部。その密集度は1平方メートル当たり100点以上だったという。
成長したマンモスと子どもマンモス(最低8頭)の骨は深さおよそ1.7~2.1メートルの地中に埋まっていた。もっとも大きな骨の中には長さおよそ1.15メートルの大腿骨が含まれていたが、研究者らによれば、この骨は体重6トン以上、体長3メートル超の50歳くらいのオスのマンモスのものと推定される。そしてこの骨の一部は2万5000年から3万年の地層の中に埋まっていたと見られている。
ヴォルチヤ・グリヴァでの発掘調査を率いた古生物学者で、トムスク国立大学付属中生代・新生代生態系研究所所長を務めるセルゲイ・レシンスキー氏はロシアNOWからの取材に対し、現代のシベリアでこれほど多くのマンモスが発見された理由について次のように語っている。
「これについてはいくつかの見解があります。もっとも一般的な説はマンモスが自然によって作られたなんらかの罠にかかり(たとえばもともとグリヴァは島であり、後に島が地盤沈下した)、飢餓状態となって死んだというもの。そしてもう1つの説はヒトによって殺されたというものですが、この仮説を裏付けているのは、発掘調査の際に、ヒトの手によって作られた石器が見つかっていることです」
一方、トムスク大学の研究者たちはこれとは異なる独自の説を唱えている。今から1万年前、今回マンモスが見つかった自然の地には、動物にとって塩類の豊富な場所があり、ミネラルの摂取不足に苦しむ動物があちこちからそこに集まってきていたというものだ。「動物たちはミネラル不足を解消するために特定の場所へと移動しました。たとえばナトリウム、カルシウム、マグネシウムといった生命に不可欠な化学物質を豊富に含む植物を食べるためです。動物が一斉に大移動するにあたり、数百の動物が一つのテリトリーに存在することとなり、そうした場合にはさまざまな理由によって(捕食動物によるものを含め)マンモスが1−2頭死んでしまうということもあったと考えられます。今回発見された骨はそのような理由で死んだマンモスの骨というわけです」
報道写真
発掘調査では合わせて785点のさまざまな身体の部分が発見され、これらについては今後、分析が進められることになっている。また今回の調査では、マンモスのほかにバイソン、ウマ、猛獣(おそらくキツネやホッキョクギツネと見られる)、齧歯目の動物などの骨もいくつか見つかっている。
レシンスキー氏はさらに次のように述べている。「現在、大学では、発見された骨と身体の部分すべての処理作業を行っています。どの発掘物も最後まできちんと処理しなければなりません。洗浄し、プレパラート標本にし、骨は梱包し、番号を振っていくのです。この作業には丸1年かかります。中でもとりわけ興味深い発掘品は放射性炭素年代測定検査に出し、正確な年齢を調べることにしています」
ロシア科学アカデミー考古学・民俗学研究所はそのサンプルの準備(年代確定のため、骨からコラーゲンを抽出し、それを燃やして錠剤にする)に取り掛かることにしている。放射性炭素年代測定検査はアメリカのジョージア大学で行われることになるという。レシンスキー氏は「放射性炭素年代測定検査は多大な費用を必要とするため、このように価値あるコレクションの検査は、融資をきちんと得ている場所でしか行うことができないのです」と話す。
いずれにせよ、ヴォルチヤ・グリヴァで行われた考古学調査では、今後この地でさらに多くのものを発見できるという結果が出たことから、研究者らは来年も発掘調査を継続することにしている。
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