タタールスタン共和国の科学特区「インノポリス」に、IT企業向けの「ロシア携帯OS開発センター」が開設された。ロシア連邦通信マスコミ省のニコライ・ニキフォロフ大臣が、自身の短文投稿サイト「ツイッター」でこれを発表した。
OSの開発を行っているのは「オトクルィタヤ・モビリナヤ・プラトフォルマ(OMP)」社。先月開業した会社である。主な課題は、携帯端末市場でOS「アンドロイド」と競合すること。
開発中のOSは一般ユーザー向けで、これを搭載したスマートフォンの価格は割安になると、OMPのオーナーであるグリゴリー・ベリョスキン氏は「ヴェドモスチ」紙に話した。スマートフォンを数ヶ月後にもロシアで発売する予定だという。メーカーと交渉中とのことであるが、ベリョスキン氏は詳細を明かさなかった。
「ロシア電子通信協会」の主席アナリスト、カレン・カザリャン氏は、ロシアNOWの取材に対し、次のように話した。「組み立てを中国で行えば、生産に問題は生じない。ロシアで必要な要素はすぐには出てこないだろう。主な問題は、ロシアに機器の設計専門家がいないこと」
新しいOSは既存のOSをベースに開発されるのではないかという。「開発者はロシアの既存の暗号技術に注意を向けるべきかもしれない。安全性の高いOSを目指すために」とカザリャン氏。
ベリョスキン氏は、新しいOSが「セイルフィッシュ」のコアプラットフォームをベースに開発されると話している。セイルフィッシュは「リナックス」ベースだ。開発者はインターフェイスをロシア語に変えるなど、ロシアのユーザー向けにセイルフィッシュを仕上げる。セキュリティ面で大きく変えることは計画していないという。
セイルフィッシュを開発したフィンランドの「ヨーラ」社は、同国の通信機器大手「ノキア」の開発者によって設立されている。現在の登録地は香港。「ロシアと中国の投資家が大口株主で、ロシアのプログラマーを含めたロシア側からの参加が活発な国際プロジェクトと言える」とニキフォロフ通信マスコミ相。
会社の設立時から、セイルフィッシュをベースとした機器は数種類しか生産されておらず、しかも小口である。それはヨーラのスマートフォンとタブレット。ヨーラの資金状況は苦しく、昨年11月には従業員の一部のリストラが行われ、再編が始められた。
今年5月になって、ようやく1200万ドル(約13億円)の投資を受けた。詳細について、ヨーラは伝えていないが、1年前にベリョスキン氏はこの企業の共同オーナーになった。
ロシアでアンドロイドの代替品をつくろうとする試みはこれが初めてではない。ニキフォロフ通信マスコミ相は昨年、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5ヶ国)と協力して独立したOSを開発することについて協議していた。「BRICSの人口は地球の半数。つまり、スマートフォンとタブレットの潜在的な利用者の半分」とニキフォロフ通信マスコミ相。新しいOSは、「マイクロソフト」社の「ウィンドウズ」、「グーグル」社の「アンドロイド」、「アップル」社の「アイオーエス」などのシステムの支配に対する答えに可能性もあるとニキフォロフ通信マスコミ相は話していた。
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