核融合実験炉ITER

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第25回国際原子力機関(IAEA)の核融合エネルギー会議は名称こそ無味乾燥だが、人類のエネルギーの将来がかかわっている。しかし、ロシアも日本も参加している国際熱核融合実験炉(ITER)計画は工期がまたも延ばされた。

人工太陽再現に挑戦

 主なテーマはフランスのカダラッシュに建設が決まっているITER。最終目標は水素の核融合反応でプラズマを得ることだ。ITERは水素の同位体・重水素と三重水素の核融合を発電用に使用する初の大規模実験であり、太陽で起こっていることを地球上で再現するものだ。

国際会議に39カ国

第25回国際原子力機関(IAEA)の核融合エネルギー会議が10月13~18日、サンクトペテルブルクで開催された。参加者は39カ国総勢840人に上った。日本は約100人の研究者を派遣した。焦点は、国際熱核融合実験炉(ITER)計画をめぐる協議だった。

 この開発にはロシア、欧州連合(EU)諸国、米国、日本、インド、中国、韓国が参加している。

 インドはITER用冷却装置クリオスタットを開発している。日本はロシア、EUと共にダイバータ(プラズマからヘリウムを取り出す装置、総重量700トン)を開発中だ。ロシアは25のシステムに参加し、うち7システムを独自開発している。

 かつて自国での実験炉建設を提案した日本は主要参加国の一つである。

 「日本の分担分は他の参加国と同じく9.09%だ」。ITERロシアのプロジェクト室を統括するアナトーリ・クラシリニコフ氏の指摘によると、日本はこの計画の45%を分担するEUからの発注の一部を受けており、しかも、今のところ期日通りに義務を遂行しているという。

 また、日本はロシアと緊密に協力している。ロシアが製作している超電導ケーブルは日本企業が作っているステンレス鋼製チューブでパックされている。

 さらに、現時点では日本とロシアの2カ国だけがジャイロトロンのプロトタイプ(プラズマ加熱装置で、実験炉に全部で24基ある―編集部注)開発に関する作業を成功裏に遂行した。

 

参加に消極的だった米国

 仏カダラッシュでの主要施設の建設は約30カ月も遅れている。その理由はすべてが見込み通りには進まないからだと説明されている。

 ITERの新たな日程は来年6月に決めるが、ロシア、日本、韓国は従来の期日を守るべきだという意見だ。中国も参加国の総意があればばん回は可能だと言っている。現時点で一番遅れているのはEUと米国だ。

 クラシリニコフ氏は言う。

 「米国は確かにITERから離脱しつつあるが、計画は存続している。ここ数年間、EU、ロシア、日本の3者だけが開発を進めてきた。そこにインド、中国、韓国の新顔が加わったと見るや、米国もあわてて戻ってきた」

ロシアは主体的に積極参加

 国際熱核融合実験炉(ITER)計画総責任者、本島修氏は核融合エネルギー会議で「ロシアはITERの主要参加国として、経済制裁にもかかわらず順調に任務を遂行している」と述べた。

 また、ロシアの国営原子力企業「ロスアトム」のペルシュコフ副社長は「ITERは現在最大の国際プロジェクトであり、将来の核融合の技術的プラットフォームが構築されるからだ」と強調した。ロシア政府とロスアトムによる全面的な支援のもとで、作業に対する要求水準と期日は守られるとペルシュコフ氏は述べた。