グリゴーリイ・シソエフ撮影/ロシア通信
モスクワ市内で13日夜、焼け焦げたにおいが漂った。においの発生源は市の東側に位置するノギンスキー地区。非常事態省モスクワ総局によると、林業関係者が伐採木材を燃やしたという。モスクワ州林業委員会はすでに、木材のリサイクルを3日間停止すると発表している。
関係者が「風向きを考えなかった」ことが、モスクワ市に煙が到達した原因だと考えるのは、モスクワ総合計画研究所モスクワ自然領域保護・開発部科学プロジェクト主任のアレクサンドル・ミニン氏。長期的見通しでは、街をこれ以上汚染することはないという。
非常事態省モスクワ総局は住民に対し、外出時間を制限し、部屋の扉と窓を閉め、マスクを着用するよう勧告した。
ロシア連邦水文気象環境監視局危機管理室のユーリ・ヴァラキン室長は、インテルファクス通信のインタビューで、「外出時間を減らすよう呼びかけられたのは、恐らくカポトニャ地区の件(10日の硫化水素排出)を受けて慎重になっているため。羮に懲りて膾を吹く」と述べた。
モスクワの今の気象条件では、速やかな散気は難しいものの、煙は危険ではないという。ミニン主任はロシアNOWにこう述べた。「モスクワでは冬前、空気が地面に滞留するため、風が弱いと煙は数日間留まる」
以前はさわやかだった郊外からの風
モスクワに煙が残る別の原因として、ミニン主任は「環状道路(モスクワ市内に3本)が閉鎖的な大気の”鍋”をつくり、本来であれば空気流で排除される煤煙を留めている」と考える。
モスクワは放射構造の平野の街であるため、中心部と郊外の気温差によって微風が吹く。温かい空気が中心部で上昇し、郊外の空気を引き寄せる。以前はモスクワ市を囲む保護緑帯、公園、また川の渓谷から風が吹いてきたが、現在は郊外の開発が進んでいるため、汚れた空気が流入するようになったという。
「モスクワの空気汚染原因の90%が自動車。その大半がいかなる環境基準にも準拠していない」とミニン主任。
硫化水素の排出
モスクワ南東部で10日、硫化水素の排出が発生した。発生源として可能性が高いのは、国営ガス会社「ガスプロム」の石油子会社「ガスプロムネフチ」所有のモスクワ石油精製工場。
この問題の主な責任者として、セルゲイ・ドンスコイ天然資源・環境相の名前があがっている。
モスクワ検事局はこの工場以外にも、数十社に嫌疑をかけている。
水文気象環境監視局危機管理室も今のところ、はっきりとした発生源を特定できていない。「何が発生原因になったのかがはっきりわかっていないため、空気中の硫化水素の基準が数倍に高まったと言うことしかできない」
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