ロシアの”i”革命

ロシアは資源への依存から脱却し、3iすなわちIndustry、Innovation、ITの道を進もうとしている=タス通信撮影

ロシアは資源への依存から脱却し、3iすなわちIndustry、Innovation、ITの道を進もうとしている=タス通信撮影

西側諸国の第3次産業革命は、ロシアで3i革命に変わった。

 ウラジーミル・プーチン大統領は2月初め、ロシア経済の今後の成長に向けて、エネルギー輸出ではない、新たな原動力を模索する必要があると述べた。

 西側諸国は「脱炭素」時代に向けて、第3次産業革命と呼ばれるコンセプトを進めようとしている。このコンセプトの作者は、アメリカの有名なエコノミスト兼時事評論家であるジェレミー・リフキン氏。このコンセプトの基調となっているのは、再生可能エネルギーへの転換、エネルギー効率の向上、「モノのインターネット」の発展、「ビッグデータ」にもとづいた経営、3Dプリンター技術の発達である。

 ロシアは資源への依存から脱却し、3iすなわちIndustry(産業)、Innovation(革新)、IT(情報技術)の道を進もうとしている。

 

産業革新への投資

 ロシア連邦経済開発貿易省のオレグ・フォミチョフ次官は、革新をいかに刺激すべきかについて、こう説明している。「すべてに一定の遅延がある。この件が活発に提起されるようになってずいぶん時間が経過しているが、ビジネスや地方の行政から反応や回答はしばらくなかった。ここ1年半から2年で、ようやく結果がでた。革新発展プログラムにおける大企業の作業の質が著しく高まっているし、ほとんどの大企業でプログラムが採用されている」。

 ロシアの国営ナノテクノロジー・投資会社「ロスナノ」は、有望な分野で最新技術やナノ技術を使用するプロジェクトの商業化に寄与している。2012年にロスナノから助成金を受け取った新興企業の1社が、3Dプリンター技術の開発と改善を行っている「ピカソ3D」。ピカソ3Dは現在、3000ドル(約30万円)ほどで3Dプリンターを販売し、成功している。このプリンターの質は海外製品にひけをとらない。ロシアには他にも「プリント・アンド・プレイ」や「プリントボックス3D」などの3Dプリンター関連の企業があるが、今のところ、国内市場向けである。

 

3Dプリンターが牽引車に 

 3Dプリンターは、ロシア産業革命の「独自の道のり」が、西側諸国のモデルと一致している分野だ。経済開発貿易省は昨年、大規模な青年革新創作センター設立プログラムを開始し、3Dプリンターなどの工作機械を備えたファブラボ(制作実験室)の開設を可能にした。

 3Dプリンターと試作機を使ったラピッド・プロトタイピング(迅速試作)は、従来の方法とは異なり、注文のニーズに応じて生産をスピーディーに調整できる。ロシアでは現在、重機械産業用製品を生産している、「ウラルマシュ・イジョラ」グループなどがラピッド・プロトタイピングに移行した。

 恐る恐る革新の道への第一歩を踏みだしているが、「ロシア・ベンチャー会社」革新・社会プログラム部のエヴゲーニー・クズネツォフ部長は、ロシアが新しい産業化の方向性をまだ協議している最中だと考える。「ロシアの産業は古いパラダイム、古い技術体系の論理で動いている。例外的なのは、ロシアの概念で産業とされていないITとソフトウェア開発の分野。だがこれも産業体系に加わり、工作機械のソフトになりつつある」

 

IT分野のロシア革命

 現在、ロシアで生産されるIT製品の70%以上が輸出されている。主な輸入国はアメリカ(50%)で、残りは西ヨーロッパとアジア。政府のこの先の5ヶ年予測によると、輸出額は2倍の90億ドル(約9000億円)に達する。

 政府は昨年、2014~2020年IT分野発展戦略と2025年までの予測を打ちだした。

 優先的なのはソフトウェアの量産とさまざまなサービスの提供。政府はさらに、クラウド・サービスを競争レベルに引き上げ、外国市場にとって魅力的なものにするために、発展をうながすことを計画している。ロシア連邦情報技術・通信省のマルク・シュムレヴィッチ次官は、「書類作成の際、外国の経験を研究した」と話した。シュムレヴィッチ次官によると、民間企業との協力、法的イニシアチブ、税制措置でイギリス、開発、研究センターの創設でアメリカ、IT関連職への若者の呼びこみでシンガポールの実績を参考にすることが決定したという。

 

地球のための革命

 ロシアと西側の科学技術の進歩の速度を比較するのは正しくない。ソ連崩壊後の方針がまったく異なるからだ。だが3iモデルによって、ロシアが世界の新たな産業時代への突入に貢献できる可能性を、慎重ながらも予測することができるようになる。