インディアンはシベリア出身

Alamy/Legion Media撮影

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遺伝子の比較から、約2万4千年前に、シベリア先住民の遺伝子がアメリカ大陸に現れたことが分かった。

ロシア人研究者7人を含むグループの成果 

 7人のロシア人学者を含む研究者グループが、後期旧石器時代のシベリアの住民の遺伝子を研究し、アメリカを含む諸大陸への移動、定住の初期段階について、新たなデータを得ることができた。 

 現代の通説によれば、アメリカの最初の住人は、現在のベーリング海峡を渡ってやって来た(当時は、シベリアとアラスカの間に地峡が存在していた)。「最初のアメリカ人」の遺伝学上の故郷は、アルタイとみなされている。彼らの祖先が、シベリアに分散し、結局、アメリカにも到達したという。だから、この最初のアメリカ人に遺伝子的に近いのは、東アジアの住人だが、では、「旧世界」のどの民族が一番近いかとなると、今までのところ、突き止められていなかった。

 しかし今回、学者たちは、様々な民族の遺伝子を研究することで、太古のインディアンの形成過程に関して、新たな結論を得ることができた。

 

太古のシベリア人の遺伝子を各民族と比較 

 Maanasa Raghavan(コペンハーゲン大学)率いる研究者グループに、ロシアの学者たちも加わって、太古のシベリア人のゲノムを調べ、その結果を他の諸民族の遺伝子と比べ、成果を「ネイチャー」(Nature)誌に発表した。

 そのシベリア人というのは、イルクーツク州ウソリスキー地区のマリタ遺跡で、1928~1958年に行われた発掘で見つかった人骨で、現在、エルミタージュに保管されている。そこから遺伝子をとったわけだ。

 学者たちは、科学者たちは、そのシベリア人のDNA配列を決定し、データ解析を、現代の11の民族、太古のユーラシアの4つの民族(マリ人、タジク人、アヴァール人、インド人の祖先)、さらにデニソワ人のゲノムと比較した(デニソワ人は、ロシアのアルタイ地方のデニソワ洞窟に約4万1千年前に住んでいたと考えられている)。 

 その結果、現代の民族で、そのシベリア人に最も近いのは、インディアンのカリティアナ族であることが判明した。

 そこから次のようなことを結論できる。西ユーラシアの諸民族の遺伝子がアメリカ大陸に入ったのは、今日までに考えられていたよりはるかに古く、後期旧石器時代に当たる2万4千年以上前に遡る。

 また、このことは、インディアンが「X 染色体ハプログループ」(Haplogroup X)をもっている理由を解き明かす助けになる。「X 染色体ハプログループ」は、西ユーラシアの民族には見られるが、東アジアには見当たらない。

 

人種の起源の問題などにも関係 

 「今回の調査の結果は、シベリアとアメリカをはじめとして、各大陸に人間がどのように移動し、定住したか、その初期段階に関わるものです。また間接的に、人種の起源の問題にも関係してきます(もっとも、世界の学者たちは、この問題には、政治的配慮から慎重に触れるようにしていますが)。でも、実際にはこのテーマは、より生物学的なものであって、人間が、様々な気候帯で、それまでとまったく異なる生存条件にいかに適応していったかという問題に関わるのです」。こう語るのは、ロシア科学アカデミー・シベリア支部の「細胞学・遺伝学研究所」で「個体群・人種遺伝学」室を率いるリュドミラ・オシポワ教授。同氏は、今回の研究論文の共同執筆者でもある。

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 同氏によれば、諸大陸への移動、定住の初期段階は、遺伝学者たちによってかなり研究されており、それなりの移動の図式も作成されているが、「実際の生活は、図式よりも複雑だ」。このように述べたうえで、オシポワ教授は、次のように結んだ。

 「人種が、人類の歴史のどの段階で生まれたのか――ホモ・サピエンスの段階でか、それ以前の段階でか――これは今のところ大問題です。解明されるべき事柄がまだまだたくさんあります」

 オシポワ教授の意見では、今回の研究は、「最初のアメリカ人」の起源が非常に古いことを裏付けるとともに、太古のシベリアで、ヨーロッパ・タイプの人間がどのように移動したか、などの問題について基礎的な知見を与えるものだという。

 

元記事(露語)