宇宙からチェリャビンスク市民に送られた「こんにちは」は、上空で爆発した大きな火球の破片だった=ロイター通信撮影
チェリャビンスクにお客さん
2013年の重大なできごとは、宇宙からもたらされた。チェリャビンスク州上空で2月15日、約20メートルの小惑星が爆発。ツングースカ大爆発以来、ほぼ100年ぶりの大きなニュースだった。
小惑星が爆発した瞬間や、隕石雨が降った瞬間は、車載カメラ、ビデオカメラ、携帯電話などで多数記録されたため、研究者は隕石の落下コースをかつてないほど正確に定めることができた。宇宙からのお客さんの破片は、チェリャビンスク州各地で集められ、もっとも大きい破片はチェバルクリ湖の湖底から引き揚げられた。後者はチェバルクリと命名された。
この一件は政治にも影響を与えた。アメリカ、ロシア、ヨーロッパ連合(EU)の政府が、小惑星、彗星の危険性を再考。アメリカの航空宇宙局(NASA)は小惑星の捕獲および月周回軌道への誘導に関するプロジェクトを立ち上げ、ロシアは対小惑星防衛プログラムの作成を検討している。
ボストーク湖に未知の生物
SCIENCE PHOTO LIBRARY/East News撮影
ボストーク湖から採取された湖水はセンセーションだった。サンクトペテルブルク核物理大学のセルゲイ・ブラト氏は、既存のいかなる亜界にも属さないバクテリアを発見したと発表。
南極大陸の氷床表面から3768メートル下に眠るボストーク湖は、分厚い氷床によって外界から数百万年隔離されていた。湖の高濃度酸素水に耐え得る微生物が生息している可能性を、研究者らは予測していた。これまで、そのような生物は知られていなかった。
ブラト氏と仲間の研究員は、掘削機の中で凍結した、最初の湖水サンプルを調査。すべての微生物を確認し、それまでに南極の氷や掘削流体で発見されていたバクテリアを除いた。全方位的分析によって、未知のバクテリア群を発現することができた。つまり、湖には「異種」が実際に存在するということである。
ブラト氏のグループは現在、サンクトペテルブルクに5月に届けられた「きれいな」サンプルを研究しているが、発見の裏づけはできていない。
地球外からインポート
2013年、ロシアの研究者は、2007年以来となる生物衛星の実験を成功させた。生物を搭載した衛星「ビオンM1」は、1ヶ月間宇宙に滞在し、地球に帰還してオレンブルク州に着地。
生物のほとんどが死亡したが、生き延びた生物によって実験の成果を得ることができた。微生物が小惑星とともに地球に落下することで、地球上に新たな微生物が出現することを、「隕石」実験の結果が示した。
ロシア科学アカデミー生物医学研究所の研究者らは、バクテリアの胞子のついた錠剤を、衛星の玄武岩製外装に収めた。宇宙から大気圏に突入した際、外装は とけたが、少なくとも1つの菌株は生き延びた。これによって、宇宙から微生物が持ち込まれる可能性について議論することができるようになった。
ロシア科学アカデミーの改革
ロシア科学アカデミー=ロシースカヤ・ガゼタ(ロシア新聞)
ロシアの科学界は2013年、変革の時代に突入した。ソ連時代に築かれ、ロシア科学アカデミーに引き継がれた研究所のシステムは、連邦科学組織庁の管理下に移り、アカデミー自体は専門機能を果たすだけの「研究者クラブ」に変わってしまった。
改革について発表があったのは6月末。ウラジーミル・フォルトフ氏がアカデミーの新総裁に選出されて、1ヶ月に満たない時期だった。下院(国家会議)に提出された最初の法案は、ロシア科学アカデミーを解散し、医療科学アカデミーと農業科学アカデミーも加えた、新たな同名の社会・国家組織を創設することを 求めていた。科学界の一部は改革案に反対。
第2読会でアカデミー解散の項目は法案から消えたが、「委任された連邦行政機関」がすべてのアカデミー研究所を管理する、という項目は残った。改革に関する法案は秋に可決され、全権委任された連邦科学組織庁を、36歳のミハイル・コチュコフ財務次官が率いることが決まった。
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