写真提供:www.yotaphone.com
「俺のお金全部持って行っていいよ」、「すごいアイデアだな。待ちきれない」、「良い物に仕上げてください」、「いいね。とりあえずどんなものかすごく見てみたい」、「ほしいww」・・・。英語の大型ITニュース・サイトに掲載された、スマートフォン「ヨタ・フォン(Yota Phone)」の記事の下には、このような肯定的なコメントがずらりと並んでいる。ところがロシア語のITサイトになると、コメントの内容は一変する。「まぬけなデザイン。値段も。陳列棚で埃をかぶってそうなお荷物」、「これのどこがロシアなんだ。俺にはぜんぜんわからない」・・・。英語圏のユーザーだって絶賛するコメントばかりを書いているわけではないが、ロシアのユーザーのコメントはとにかく批判一辺倒だ。
ラスベガスの年次家電見本市でほぼライバルなし
アメリカのネバダ州ラスベガスで開催された、年次家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー2013(CES)」(2013年1月8日~11日)の会場で、ヨタ・フォンの試作品が初めて世界に紹介された。2012~2013年がスマートフォン・電子機器市場の転換期となっていることや、大手企業が書き入れ時近くに個別のプレゼンテーションを設定し、見本市などではあまり一押しの商品を紹介しないようになっていることなどから、ヨタ社にとってはタイミングが良かったと言える。今回の見本市ではライバルがほぼ不在だったのだ。ソニー(Sony)のコーナーが唯一おもしろかったが、まったく新しい実験的な作品を展示していたヨタとは異なり、ここでも紹介されていたのは従来型のスマホだった。テクノロジー&ビジネス情報の世界的サイトCnet.comのモバイル部門で、この作品は「CES2013最優秀賞」まで獲得した。
両面ディスプレイで使い分け
ロシア初のスマホが、なぜこれほど外国人のジャーナリストやユーザーをひきつけたのだろうか。それは、ヨタ・フォンには両面ディスプレイという、珍しいアイデアが採用されていることにある。表面は普通のカラー液晶画面で、裏面は電子ペーパーのイーインク(e-ink)画面になっている。このようなソリューションはスマホの機能を拡大し、特定の課題をこなしやすくする。
もっともわかりやすい例としては、最近どのスマホや携帯電話にも搭載されている、電子書籍の機能を追加することができることだ。現在はどのスマホでも電子書籍の読みやすさは同じレベルにあり、違いはサイズや画質ぐらいだが、ヨタ・フォンの場合は特別なイーインク画面のおかげで、紙の印刷物のような目に優しい本を読むことができる。また、太陽光がまぶしいところで地図を表示しても、イーインク画面なら視認性を確保することができる。何よりも重要な点は、この画面がカラー画面と比較して、あまり電力を消費しないことだ。ヨタ・フォンの表面を活発に使用すると、他のスマホと同様、1日か1日半しかもたないが、カラー画面の代わりにイーインク画面の方をひんぱんに使用した場合、1回の充電で何日ももつ。
来年9月に約6万円で販売へ
ヨタ社は2013年第三四半期、9月頃を目途に、660ドル(約6万円)で、ロシアで販売を始める計画を立てている。すぐに量産や販売拡大を目指すのではなく、まず販売を開始して、ユーザーの声を聞きながら今後につなげていきたいとしている。同社は何よりも新しいコンセプトの実行可能性を証明したいと考えており、そのためには市場に完成かつ安定した製品を送りこむことが必要なのだ。
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