アジアへのロシア製兵器輸出

長距離地対空ミサイル・システムS-400「トリウムフ」=

長距離地対空ミサイル・システムS-400「トリウムフ」=

アレクセイ・ダーニチェフ撮影/ロシア通信
 世界、とりわけアジアの兵器市場では、ロシア製兵器に対する関心が高まっている。その要因にはシリア作戦もある。ロシアはアジアのどこの国と取り引きを行っているのか。主な競合国はどこなのか。

 ロシア当局は何度となく、軍事技術協力の問題において、アジア、特に中国とインドは筆頭のパートナーであることを伝えてきた。現在、アジアのさまざまな国との、戦闘機、防空システム、潜水艦、その他の武器の供給契約が有効である。

 「アジア諸国はロシアの兵器をよく知っているため、関心が高いと言える。シリア作戦は、その戦闘中の有効性を示した。何よりも航空機、巡航ミサイル潜水艦、地対空ミサイル・システム」と、「国防」誌の編集長を務めるイーゴリ・コロトチェンコ氏は話す。ロシアの戦闘機Su-35Sや他の最新兵器に対する、潜在的なパートナーの関心は、急速に高まった。これは既存の契約の拡大や新規の契約を意味するものだ。

 

中国

 長距離地対空ミサイル・システムS-400「トリウムフ」を4台最初に注文した国は中国である。ロシアの軍事専門家によると、このシステムは特別で、世界に類似品がないという。「今日開発されているあらゆる空襲システムを破壊できる。『空対地』でも『地対空』でも。既存の潜在的な敵の戦闘機すべてに対応する」と、軍事科学アカデミーのヴァジム・コジュリン教授は話す。

 ロシアと中国は長期にわたる交渉を経て、第4++世代Su-35戦闘機24機の供給契約を結んだ。これは超機動多用途ジェット戦闘機である。契約額は20億ドル(約2200億円)。このように、中国はロシアが最新戦闘機の供給契約を結んだ最初の国となった。

 

インド

 ロシアは現行の契約にもとづいて、45億ドル(約4950億円)を超える兵器および軍事装備品を輸出している。

 国際兵器見本市「デフェクスポ・インディア2016」(3月28~31日)では、ロシアは長距離地対空ミサイル・システムS-400「トリウムフ」の供給契約案を作成した。報道によれば、契約額は60億ドル(約6600億円)に達する。

 これより以前の輸出契約で最も高額だったのは2013年の空母「ヴィクラマディティヤ」。契約額は23億3000万ドル(約2563億円)。

 

インドネシア

 インドネシアの国防大臣は昨年9月、飛行中隊の老朽化(40年経過)しているアメリカ製戦闘機F-5タイガーを、戦闘機Su-35と入れ換えると発表した。4月、インドネシアの代表団がモスクワを訪問し、最新戦闘機の供給について交渉を行った。

 アメリカ系金融情報通信社「ブルームバーグ」によると、Su-35Sを8~10機購入するという話だという。インドネシアは近年、ロシアから輸送ヘリコプターMi-17を10機、攻撃ヘリコプターMi-35Pを5機、歩兵戦闘車BMP-3Fを20両購入している。

 

アジアにおけるロシアのライバル

 軍事技術協力問題を担当するウラジーミル・コジン大統領府長官は「インテルファクス」通信のインタビューで、兵器事業のロシアのライバルはずっとアメリカであったし、現在もそうであると話した。

 両国はすべての最新システムにおいて肩を並べている。個別の兵器種では、西ヨーロッパ諸国も強い。フランスは航空機、ドイツは重火器。

 「国家は兵器を買うことで、鉄の塊だけでなく、一定の政治的配当も手に入れる」とコジュリン教授は説明する。これを理由に、ロシア製兵器にどれほど強く関心を持っていても、例えば、何らかの問題でアメリカの支援を必要とすれば、ロシアには接触してこないという。

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