イランとロシアが兵器輸出入協議

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相とイランのホセイン・デフガーン国防相=

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相とイランのホセイン・デフガーン国防相=

ヴァジム・サヴィツキー撮影/タス通信
 メディアの報道によれば、イランの国防相のモスクワ訪問では、ロシア製兵器の購入に関する80億ドルという巨額の契約について話し合われた。両国は、自国に科された制裁に苦しみ、資金不足に直面しているものの、観測筋は、イランとロシアは合意に達しうるものと確信している。

 イランのホセイン・デフガーン国防相は、2月15、16の両日、モスクワに滞在し、ロシア製兵器の購入に関する契約などの問題を協議した。コメルサント紙の情報によれば、イランは、80億ドル分の兵器をロシアから購入したい考えである。

 提示された額は、驚くに値しない。イラン軍の装備は、制裁期間中にひどく老朽化し、大幅な現代化が求められている。軍事専門家で「ヴォエンノ・プロムィーシレンヌイ・クリエール(軍産新報)」紙の論説員であるコンスタンチン・ボグダノフ氏は、「イランは、現有兵器の大部分の抜本的刷新を必要としている」と述べている。

 

イランが直面する困難

 イラン軍現代化の途には、二つの大きな問題がある。第一に、昨夏にイランの核プログラムに関する合意が達成されたものの、イランからの制裁解除は始まったばかりであり、そのプロセスは緩慢である。たとえば、2020年まで、イランは、攻撃兵器を購入するために国連安保理の許可を得なくてはならない。第二に、制裁により弱体化したイランには、今のところ、そうたくさんの資金がない。

 いずれにせよ、攻撃兵器の購入に関する契約が速やかに履行に移されるとは考えにくく、ロシアには、必要量の兵器を生産するための時間が必要である。ロシア科学アカデミー東洋学研究所のウラジーミル・サージン氏の考えでは、イランとの契約は、それが調印される場合、ちょうど2020年が目途とされる。アナリストらが強調しているところでは、今のところ、ロシアは、防衛兵器および二重用途の製品、すなわち、地対空ミサイルシステムおよび軍用輸送機もしくは訓練用戦闘機を供給しうる。

 専門家らは、また、イランの苦しい財政状態やメディアが報じているようなイランへの兵器購入用クレジットの供与をさほど望まないロシアの意向が協力の妨げになることはなく、オフセットやバーターといった何らかのスキームが始動する、と考えている。しかし、イラン自体の可能性を過少に評価すべきではない。イランは、大きな収益を約束するエネルギー資源を携えて貿易市場へ進出しつつあり、国外の銀行の多数の大口口座の凍結解除を待っている。

 

イランが購入できるもの

 ロシアの通信社の消息筋によれば、イランは、ロシアの多用途戦闘機Su-30SMの購入を希望している。

 イランは、ロシアの対空防衛システムにも関心を抱いている。周知のとおり、ロシアとイランは、防空システムS-300の供給に関して合意しており、メディアの情報によれば、現在、イランは、改良型のS-400の購入も希望している。ロシアは、最近、それらをシリアで自軍を守るために展開した。

 戦闘機や防空システムのほか、イランは、現代的な戦車を必要としている。ロシアの戦車T-90の購入をめぐる交渉は、すでに数ヶ月に亘っている。イランは、当初、この兵器に関心を示したが、後に、戦車の需要は国産品で賄えるとにわかに声明した。

 イランは、今はまたT-90の購入に前向きのようだが、ロシアによる技術的ノウハウの伝授を条件としている。ボグダノフ氏の考えでは、この契約が調印されるとすれば、高い程度の生産のローカリゼーションを想定したものとなる、あるいは、新型戦車のロシア・イラン共同開発プロジェクトの話が浮上することになる。

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