北朝鮮が人民武力相を粛清

AP通信撮影

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北朝鮮は玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相を処刑した。玄人民武力相はモスクワ国際安全保障会議に出席した2週間後に処刑されたことから(処刑日は4月30日ごろとされている)、いくつかの陰謀説が出ている。

 韓国の聯合ニュースによれば、北朝鮮の軍ナンバー2の粛清はロシアと北朝鮮の関係に影響を与える可能性があると、アメリカのアナリストが述べている。また、ロシア国防省の幹部は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記への対応に慎重になると、デニス・ハルピン元下院外交委員会専門委員はラジオ・フリー・アジアに語ったという。 

 

処刑めぐる“ロシア的アングル”

 玄人民武力相の処刑を取り巻く謎には、いくつかのロシア的アングルがある。

 韓国の国家情報院は今週、玄人民武力相が国に対する不忠を示したために、北朝鮮によって430日に処刑された、と報告した。韓国の国家情報院の関係者は、玄人民武力相が対空砲火(高射機関銃)によって処刑されたことをソウルの国会議員に語った。

 玄人民武力相は4月中旬、国際安全保障会議に参加するため、北朝鮮の国防代表団を率いてモスクワを訪問。北朝鮮の国防委員会および金正日葬儀委員会の委員だった玄人民武力相は、中国・北京よりもモスクワと近い関係を持っていた。

 玄人民武力相は地対空ミサイルの購入に関する交渉をまとめるよう指示されていたが、ロシアは北朝鮮に売ることを拒んだ。金正恩第1書記がモスクワで59日に行われた対ドイツ戦勝70周年記念式典を欠席したのは、ロシアが輸出を拒否したためとも考えられている。ロシア連邦外務省は、欠席の理由を北朝鮮国内の事情と説明している。

 北朝鮮が処刑の事実を公に認めていないため、ロシアは正式なコメントをしていない。韓国の首都ソウルと北朝鮮の首都平壌に赴任した経験のあるロシアの上級外交官は、ロシアNOWの取材に対し、北朝鮮政府との作業は「計り知れない忍耐を要し、精神的に疲労困憊させる」と話した。また、「金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去した後の粛清は、状況をさらに難しいものにしている」とつけ加えた。

 ロシアはソ連時代から、北朝鮮の支援国および友好国の一国であった。ロシアが韓国と外交関係を樹立したのは1991年のことである。

 ロシアの外交官は、北朝鮮の核開発、またサハリン州や沿海州などのロシアの一部地域の環境に影響を与え得る北朝鮮の核実験について懸念していると、主張し続けている。中国外交部は今週初め、ロシアと中国が北朝鮮の核問題をめぐる6ヶ国協議に向けて取り組んでいると述べた。

 玄人民武力相が処刑される前、また金正恩第1書記が対ドイツ戦勝70周年記念式典の欠席を決定する前に、多くのアナリストは、北朝鮮が中国から離れ、ロシアに接近しているとの意見を持っていた。

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