親露から脱露まで

キルギス共和国でタバコの葉を乾燥させる老人=Corbis/All Over Press撮影

キルギス共和国でタバコの葉を乾燥させる老人=Corbis/All Over Press撮影

クリミアのウクライナ離脱・ロシア編入、ウクライナ東部の不安定化――一連のウクライナ危機はロシアが掲げるユーラシア統合構想と西側が求める別の選択肢との次なる衝突がどこで生じうるか、という疑問を呼び起こした。いわば「クリンチ」で勝ちを呼び込めるほど旧ソ連邦構成共和国でロシアの影響力は強いのだろうか。各国の現状を概観する。 

中央アジア

カザフスタン

    ……関税同盟

 ロシアはカザフスタンとユーラシア同盟を築きつつあり関税同盟を構成しているが、それでもロシアの影響力は限定的だ。

 ナザルバエフ大統領は、統合プロセスの過度の政治化を許さぬようロシアに再三呼びかけている。

 「私たちにとって経済同盟の課題とは、経済の範囲を超える条項を条約に盛り込まないことだ」

 一方、カザフスタンはロシアにとって旧ソ連圏で最もくみしやすいパートナーの一つである。両国の間には、活発な対話によって解決できない問題はない。

 

キルギス

 

数字あれこれ

6812億ドル

2013年の関税同盟の他国との取引額(輸出4295億ドル、輸入2517億ドル)。

3.8%

そのうち日本の割合。最大はEUの52.86%。

33%

関税同盟加盟国間の取引での資源分野の割合。

……軍事協力

 

 アタムバエフ・キルギス大統領の就任と共にロシアは軍事・経済的なプレゼンスを強めた。

 ロシアは自国の空軍基地があるカント軍用飛行場について、25年間の延長を見込んだ49年間の使用にキルギスと合意した。

 ロシアはエネルギー分野の一部を自ら肩代わりし、昨年、5億ドルのキルギスの債務を帳消しにした。

 債務と引き換えにロシアはエネルギー会社キルギスガスを買い取り、ガス・電気を供給する。ロシアはカンバラタ水力発電所を建設する意向だ。

 しかし、ロシアとキルギスの関係は安泰とは言えない。政権交代などに起因するキルギスの動揺にロシアは備えなければならない。

 

タジキスタン

   ……バランス

 タジキスタンは中央アジアで扱いにくいロシアのパートナーとみなされている。近年、外交においてロシアと米国の間でバランスを図ろうとしている。

 ロシア国内にはタジキスタンの移住労働者が100万人以上いる。彼らは昨年、母国の国内総生産(GDP)のほぼ50%にあたる35億ドルを送金した。

 タジキスタンは昨年、49年間の予定で国内に配置されたロシアの第201軍事基地に関する協定を批准した。もう一つのロシアの重要な軍事施設はヌレク市の宇宙追跡ステーション「オクノー(窓)」だ。

 

ウズベキスタン

  ……脱露鮮明

 ウズベキスタンは独立国家共同体(CIS)の統合組織であるユーラシア経済共同体および集団安全保障条約機構から離脱した。同国にはロシアの軍事・経済的プレゼンスもない。

 同国におけるロシア語系住民は1989年に180万人だったが、現在は東スラブ系の住民が50万人ほどしかいないという。

 

トルクメニスタン

  ……孤立主義

 ソ連崩壊後、トルクメニスタンは孤立主義へ向かった。同国はCIS準加盟国にすぎず、CISの行事に参加することは少ない。近年の一定の改革にかかわらず、旧ソ連圏で最も閉鎖的な国だ。

 ロシアとの協力はガス分野に限られる。ガスプロムは以前、年間約650億立方メートルを購入した。欧州のガス市場の状況が変化した2009年以降、購入量は年間100億立方メートルに減少している。