プーチン大統領(左)とモスクワ市長のソビャーニン氏(右)(最前面)=AP通信撮影
現モスクワ市長のセルゲイ・ソビャーニン氏は6月5日(火曜日)、任期満了まであと2年を残して辞職し、来る市長選に出馬して新たな任期の獲得をめざす意向を表明した。
ソビャーニン氏は、モスクワでは10年ぶりとなる次期の市長選挙を9月8日に実施すると示唆したが、これはモスクワ州知事選挙の投票日に合わせたことになる。
この動きには、同氏の対抗候補として最有力とされる億万長者のミハイル・プロホロフ氏や反政権活動家のアレクセイ・ナヴァーリヌイ氏が出馬できそうにないところを突いて、新たな5年の任期を確固にする狙いがあるという見方が一般的だ。
ルシコフ色一掃を目指し
ソビャーニン氏は、モスクワの社会公共院の6月4日の会合で辞意を表明したが、そのメンバーは、2010年に当時のドミートリー・メドヴェージェフ大統領による指名に より選出されたソビャーニン氏に対し、前倒し市長選を実施してモスクワ市民に自身の正当性をアピールするよう要請した。
ソビャーニン氏(54歳)は2005〜2010年の期間、大統領府長官を務めた。その以前の2001年、同氏はロシアで最高の石油とガス埋蔵量を誇るチュメニ州知事に選出された。
モスクワ市長に就任して以来、ソビャーニン氏はユーリ・ルシコフ前市長による政策の徹底的見直しを実施し、彼の息がかかった多数の市役所職員を“配置転換”した。
ルシコフ氏は18年に及ぶ在職後の2010年9月、同政権下ではびこっていた汚職に対してメディアによる攻撃を浴びた後、「信頼が失われた」ことを理由にメドベージェフ大統領(当時)によって解任された。
抗議行動と直接選挙復活を受け
昨年6月、一定の制限下で地方自治体の首長を自由選挙によって選出する制度が復活したが、政治評論家など専門家によれば、これは、大都市、それも特にモスクワで自治の強化を求める中流層に支持された反政府活動家に対する妥協の策であったとみなされている。
政府が出資する全国的世論調査機関の世論調査基金が2月に実施した調査に よると、モスクワ市民の51%がソビャーニン氏の業績を評価しており、一方、同氏に対する批判的意見は23%だった。回答者のうち59%が、ソビャーニン氏 が当選した場合はモスクワにとってプラスとなると回答したのに対して、14%が反対意見で、モスクワにおけるソビャーニン氏の支持 率は66%。
有力対抗馬はプロホロフ氏とナヴァーリヌイ氏だが・・・
6月1日には、地方自治体の首長(州知事、市長や副知事、副市長)が海外に銀行口座や事業資産を持つことを禁じる法律が施行された。5月29日、プロホロ フ氏は、RBCビジネスポータルに対し、2014年9月に予定されるモスクワ市議会(市ドゥーマ)選挙の候補資格を獲得するために、自身の資産を2014 年までにロシア本土に移すつもりであることを明らかにした。
独立系の世論調査機関レヴァダ・センター所長、レフ・グドコフ氏は、9月の選挙で、場合によってはプロホロフ氏が20〜25%の得票率を達成する可能性があると推定している。
モスクワで人気があるもう一人の政治家で、反汚職の活発な運動家のアレクセイ・ナヴァーリヌイ氏は、プロホロフ氏よりもさらに痛烈にプーチン大統領を批判しているが、同氏はエホ・マスクヴィ・ラジオで6月4日、市長選に出馬したいとの意向を明らかにした。
当面出馬が難しい対抗馬たち
プロホロフ氏と同様に、ナヴァーリヌイ氏が9月の市長選で勝利する可能性は低いが、それは異なる理由による。ナヴァーリヌイ氏は詐欺容疑で起訴されている ためだ。この告発容疑に対し、反政権運動家たちは、それはでっち上げされたもので、政治的な動機が理由であると主張している。有罪判決を受ければ、ナヴァーリヌイ氏は公職選による選出資格を喪失する。
エホ・マスクヴィ・ラジオ編集責任者のアレクセイ・ヴェネディクトフ氏は、ソビャーニン氏は、他の候補者の対抗力が低い時期を見計らって先制攻撃をかけたのだと説明した。
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