ニヤズ・カリム
もろもろの原因は三つに大別でき、それぞれの性格に応じた対策がなされるべきだと私は考える。
原因1:石油・ガス依存
まずグローバルな構造的原因だ。石油・ガスなど燃料の価格高騰のサイクルは終わった。それがロシア経済に強く影響している。
第一に、もはや歳入はこれまでのように伸びない。国は歳出増に慎重であることを求められる(今年度の連邦予算の伸び率は約3%だが、昨年度は18%もあった)。
第二に、石油・ガスなどの燃料部門は生産のだぶつきに直面しており、新たな投資を行う動機がないことだ。
原油価格への依存度を減らすためには、予算を編成するにあたって最近採択された原則を堅持することだ。
原因2:国内的な問題
2番目の原因はより国内的なもので、容易ならざる人口問題も含まれる(労働人口の減少)。
一方で労働人口はうまく活用されておらず、ロシアのインフラに阻害要因がいくつもある。
地方の金融市場は未発達で、長期的なプロジェクトに投資する投資家も地方には少ない。おまけに、投資環境はお世辞にも理想的とはいえない。
ロシア経済を成長させる唯一の方法が資本を十分増やし、生産性を上げることであるのは明らかだ。
ところが、これは投資環境の改善、十分な資金源とインフラなしには実現できない。
解決策は明白だ。労働市場をより柔軟なものにし、予算配分をより効率的に行う。投資環境を改善し、投資額を増やす。金融市場をより効率的なものとし、長期的な資金源を地方に創出する。
だが、そう簡単ではない。政府の政策には正しい動きが見られるが、その動きは鈍い。
原因3:金融政策
第三の原因は金融の連鎖反応だ。歳出の伸びの鈍化は個人消費の伸びで相殺されるなら悪くないが、現在はそうではない。
銀行の貸し渋りにより、国民が預金するようになったせいで、個人消費の伸びは以前より鈍化している。
こうした状況への対策は金融緩和だ。その際にリスクのある貸し出しを制限するなど規制・監督のマクロ的視野で実施することだ。
これらの対策をすべて実行すれば、経済成長率を2.5~3.0%まで回復でき、4.0~4.5%の水準に向けて上げていくことが可能だ。
マクシム・オレシキン氏、VTBキャピタル社・チーフエコノミスト(ロシア担当)
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