最大限の自制を

ニヤズ・カリム

ニヤズ・カリム

 最近、朝鮮半島から発信された情報は、危険かつ矛盾している。緊迫の度合いは高まり続けている。朝鮮半島で戦争の危険が生じたのは1968年に米海軍の調査艦「プエブロ」号が北朝鮮に拿捕(だほ)されて以来である。

 他方で、3月末に行われた朝鮮労働党中央委員会総会では、経済発展と核開発の両立を進めるという方針が採択され、その後、最高人民会議では、経済改革推進派として知られる朴奉珠(パク・ポンジュ)氏が首相に任命された。

 この動きは、北朝鮮が戦争よりも経済建設に取り組もうとしていることを示している。

 現状を分析するためには、北朝鮮が朝鮮戦争休戦協定やそれに関連する韓国との協定を白紙化したこと、南北軍事当局間の通信線を遮断したことを象徴的な動きとして区別しなければならない。

 朝鮮半島で起こっていることを注視し、北朝鮮の文書を熟読すると次のことが見えてくる。一つ目は、北朝鮮がこれまでと同様、自国が危険にさらされた場合、対抗策としてすべての破滅的打撃を行うと明言していることだ。つまり北朝鮮の宣言は、敵対国が北朝鮮を攻撃しないよう警告しているととらえることが可能だ。

 二つ目は、開戦ぎりぎりのリスクの高い駆け引きでは、当事者すべてに目を向ける必要がある。北朝鮮は今にも軍事行動を起すように見せながら、言葉での威嚇にとどめているというのに、相手国は実践的行動を取っている。

 米国はアラスカ州に迎撃ミサイルを追加配備することを決定し、米国と韓国の合同軍事演習では核兵器搭載可能なB52戦略爆撃機やB2ステルス戦略爆撃機を飛ばし、北朝鮮を想定した核爆弾投下訓練を行った。こんな行動をされれば、いかなる国でも自国に対する挑発と受け止め、激しく反発するだろう。

 朝鮮半島情勢を悪化させないために、国際社会は当事者すべてに対し、最大限に自制し、自国の行動がどのような結果を招くかを同一尺度で計るよう、早急に呼びかけなければならない。  

 

 アレクサンドル・ボロンツォフ

 ロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮・モンゴル部門長