小さなオオヤマネコのようなこの猫はクリリアン・ボブテイルと呼ばれる。この品種が公式に認定されたのは1990年代になってからである。これはどんな猫なのか、そしてなぜ尻尾がないのかお話しよう。
この品種はまだ猫研究者の間でもあまり研究されていないが、そのルーツについてもっとも一般的な説は、日本のボブテイルとサイベリアンが交配したというものである。日本とロシアの船乗りたちがクリル諸島を発見し、それを地図に掲載した17世紀に、それぞれのネコをこの土地に連れてきたのだが、この2種の猫は野生の中で一緒に遊んでいるうちに、ユニークな新種、クリリアン・ボブテイルが生まれたのである。クリリアン・ボブテイルの尻尾は短く、サイベリアンの顔をし、体はふわふわの毛に覆われ、寒さと風から身を守っている。
クリル諸島にちょっと変わった品種の猫がいるなどとは誰も考えていなかった。1980年代にこの品種に注意を向けたのはソ連の研究者で、クナシル島(国後島)とイトゥルプ島(択捉島)から数匹を連れ帰り、専門家に見せることにした。学術として猫研究が生まれたばかりのソ連では、最初はこれを日本のボブテイルだとみなしたが、しかし外見も性格も大きく異なることが分かった。1991年、モスクワの猫研究者、オリガ・ミロノワはこの品種の標準的な特徴を描写し、まずソ連で公認され、1994年には世界猫協会に認められた。以来、数百の繁殖場が誕生したが、その大部分はモスクワにある。
猫の尻尾というのは、ハンドルのような役割をしている(これについては、こちらにユキヒョウで説明している)が、つまりは動く際にバランスを保つためのものなのである。しかし、この品種は尻尾がないため、後ろ足が発達している。よく見ると、尻尾の長い猫よりもずっと力強く、大きいことが分かる。
しかも、「ポンポン」のような丸い尻尾の長さもさまざまで、12センチに達するものもある。形も色々で、丸いものもあれば、螺旋のようなもの、まっすぐ伸びたものもある。
猫は本物の狩猟者であるにも関わらず、とても親しみやすく、人 ― とりわけ子どもが大好きである。クリリアン・ボブテイルが大好きで、1歳になるアプリコスを育てているモスクワ出身のマリヤさんは言う。「わたしは猫を選んでいるとき、免疫がしっかりしていて、子どもと仲良く遊べて、1日中寝そべっているのではなく、活発な品種がいいと思ったんです」。
マリヤさんのアプリコス
Anna Sorokinaマリヤさんの家族にとって、アプリコスは3匹目の「クリリアン・ボブテイル」だった。「この猫は小さな子どもに対して暴力的になったりしません。とても穏やかで、抱きしめさせてくれます」とマリヤさんは話す。
またクリリアン・ボブテイルは人と遊ぶのが大好きで、大きくなった後も、最低でも1日に2回は遊びたがることを知っておいた方が良いという。
雄は雌の1.5倍重く、体重は7キロにも達する。家で暮らしている場合だと、15年から20年とかなり長生きする。地元原産のほとんどの猫と同じように丈夫な猫である。
現在、すべてのクリリアン・ボブテイルは標準に沿って、繁殖されている。毛は短いものもあれば、少し長い毛のものもある。しかも、色はさまざまなだという。もっとも古く、一般的なものは少し長めの毛で、「野生の」トラのような毛色をしている。
また大理石模様(たとえば、アプリコスの毛色は赤大理石である)、まだら、スモーキーなものもある。カラーポイントのあるものはこの品種とは認められない。他の品種との交配は許されていないからである。
さらにこの猫は今でもクリル諸島やカムチャツカの野生に生息している。他の多くの猫と異なり、クリリアン・ボブテイルは水を怖がらない。また個々ではなく、集団で生活している。
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