夏にカムチャツカの火山やチュコトカの美しい風景を楽しみに出かけた旅行者なら、このリスに遭遇するチャンスがある。体長30〜40㌢、体重1㌔に満たないこのフワフワのリスは国外では「ホッキョクジリス」の名で知られているが、このリスは極東、カナダ、アラスカに生息していることから、ロシアでは「アメリカジリス」または「ベーリングジリス」と呼ばれている。また人々の間では「エヴラーシカ」という呼び名でも広く知られている。
1. 賢いいたずらっ子
極東で旅行者がよく見かける動物といえば、クマやキツネではなく、このホッキョクジリスである。ホッキョクジリスはいたずらっ子と呼ばれるが、それは予期せぬところで人を待ち伏せしているからである。その目的は一つ、食べ物をもらうためである。もっともやり方は非常にスマートである。旅行者が山の平地で休息を取っていると、まず1匹やってきて、「シュレック」に出てくるネコのような訴えかけるような悲しげな瞳で見つめる。そして次にもう1匹現れる。それを見た旅行者がTik Tokにアップするための動画を撮りはじめ・・・そして気づいたときにはもう食べ物は奪われた後ということになる。彼らには、食べ物を手に入れるための手順が出来上がっているのである。
2. 人を怖がらない
普通、野生の動物は人間を見ると危険を感じ、身を隠そうとする。しかし、このホッキョクジリスはそうではない!極東のすべての動物の中で、ホッキョクジリスはおそらく一番人懐こく、すぐに人に近づいてくる。一方で犬が好きではなく、犬を見ると穴に隠れてしまう。旅行者たちは、ホッキョクジリスは犬に「いたずらする」ことがあると話す。「犬はリスを見ると、駆け寄っていくのですが、リスはこっちこっちと言いながら巣穴に入り、すると別の巣穴からもう1匹のリスが顔を出し、犬は今度はそちらの方に走っていく。そうやってリスは30分ほど、わたしの前で犬をあっちこっちに走らせて、しまいには犬は興味を失ってしまっていましたね」。
3. 小鳥のようにさえずる
ホッキョクジリスの声は鳥の鳴き声に似ていて、その顔かたちからはちょっと想像もつかない。危険を感じたときや、仲間にそれを知らせるときに声を出す。しかしこの動画では、人の話し声に反応して、声を出している様子が映っている。
ちなみに、野生の動物をなでるのはやめた方がいい。噛み付かれて、病気になることがある。
4. 寝るのと食べるのが大好き
ホッキョクジリスは寝るのと食べるのが大好きである。ホッキョクジリスの姿を目にすることができるのは、北極圏の短い夏の間だけである。というのも1年のうち、長ければ、9月から5月にかけて、8ヶ月も冬眠しているからである。この間、ホッキョクジリスは深さ3㍍の巣穴で暮らす(永久凍土をどうやってそれほど深く掘ることができるのか想像してみてほしい)。冬眠している間、リスは体重が半分くらいになってしまうため、目覚めるとすぐに食べ物を探しに出かける。ホッキョクジリスは雑食動物で、ベリーを食べることもあれば、虫を食べることもある。しかし、人間から手に入れる物ももちろん好んで食べる。
5. 食べすぎで命を落とすことも
観光客にとって、ホッキョクジリスに食べ物を与えることは、旅を彩る楽しみの一部である。しかし、動物学者らによれば、ホッキョクジリスに餌を与えるのはやめたほうがいいとのこと。なぜなら、それにより、自然界で食べ物を探す代わりに観光地に群がるようになるからである。また時とともに、この地域には捕獲動物もやってくるようになり、ホッキョクジリスの生息数を減少させてしまう。ホッキョクジリスは、おいしそうな匂いがして、食べられる物であればなんでも口に入れるが、それはリスにとって良いことではない。観光客からはチーズ、チョコレート、ナッツなどを奪うが、中でも甘いクッキーなどが大好きである。しかし、専門家は、ホッキョクジリスが甘いものをどんなにせがんでも、与えないほうがいいと助言する。どんな食べ物であるのかは重要ではなく、リスは食べすぎて死んでしまうことがあるからだ。どうしても無視できないというときには、ナッツを少しだけならあげてもいいそうだ。ただし、生のものに限る。