t.A.T.u.(タトゥー)、解散後の2人に何が起こったか?

Philipp Manuilov/Sputnik, Legion Media
 この秋のはじめ、日本の人気音楽番組「ミュージック・ステーション」が、「同一司会者による生放送音楽番組の最長放送」でギネス世界記録に認定された。これをきっかけに、日本のインターネット上では、この番組で一躍有名になったロシアのデュオ、t.A.T.u.が再び話題を呼んでいる。当時一体何があったのか、そしてテレビから消えてからメンバーの2人はどうなったのか?

 「ミュージック・ステーション」の司会を務めるタモリは、あるインタビューで番組を振り返って忘れられない出来事について尋ねられ、「それはやっぱりt.A.T.u.でしょう。あれは忘れられないですし、あれを超える出来事はないでしょうね・・・」と答えた

t.A.T.u.のメンバー:ユリヤ・ヴォルコワ(左)とエレーナ・カーチナ(右)

 t.A.T.u.のメンバーであったユリヤ・ヴォルコワとエレーナ・カーチナは世界中で大きな話題となり、ロシアのポップスアーティストとしては前代未聞の人気を獲得した。日本では、デビューアルバムの売上枚数で、ビートルズやマイケル・ジャクソン、マドンナを超える最高記録を樹立した。しかし、t.A.T.u.はこうした輝かしい記録だけでなく、とんでもない出来事で日本の人々の記憶に残っている。2003年、まだ若かった2人は、「ミュージック・ステーション」の生放送への出演をドタキャンし、謝罪すらしなかったのである。

 その10年後、2人はこの行動はプロデューサーであったイワン・シャポヴァロフの指示でやったことだったと告白した。プロデューサーは騒動を起こして、さらに人気を獲得しようとしたのだという。しかし、このことはまったく逆の効果を生むことになった。ドタキャン事件から1年後に行われた東京ドームでのコンサートではホールにファンを集めることはできなかったのである。

 2011年、t.A.T.u.は解散した。解散後の2人の人生はどのようなものだったのか、そして2人にはどのような計画があるのかを調べた。

1. 渡米とソロ活動

 解散後、レーナ・カーチナはロサンジェルスに移住、独自の音楽プロジェクトを立ち上げた。ロックからラップまで多くの歌やクリップをリリースし、2011年の3月に日本で発生した津波の犠牲となった子供たちのためのチャリティーコンサートでは、「Keep on Breathing」を披露した。

 カーチナはこの歌について、「テレビで流れる被災地の映像を見て大きなショックを受けました。どんな苦難があっても、とにかく生きて欲しいという思いを込めて作りました」と語った。 

2. 声を失う

 一方、ユリヤ・ヴォルコワも、t.A.T.u.解散後、ソロ活動を開始し、ソロアルバムをリリースした。しかし、まもなく、ユリヤは活動停止に追い込まれる。2012年、甲状腺がんが見つかったのである。腫瘍摘出の手術で、声帯が傷つけられ、声を失った。

 「麻酔が覚めたとき、声を出そうとしましたが、声が出なくなっていて、囁くことしかできませんでした」とヴォルコワは回想する。外国でもう一度手術を受け、その後も長期にわたってリハビリが続いた。その後、声を取り戻したヴォルコワだが、がんが再発する。ヴォルコワによれば、治療を再開し、がんを克服することができたという。 

3. 政治家としてのキャリア

 2020年、ユリヤ・ヴォルコワはロシア最大の与党である「統一ロシア」の議員選挙への出馬を表明。選挙前キャンペーンでは、「言葉だけでなく、本当に大部分の国民に利益のある決定を下すため」と説明した。

 しかしこの願いは叶うことはなかった。候補者選出の選挙では919票しか獲得できず、敗北を喫し、出馬すらできなかったのである。

4. 複雑な関係

t.A.T.u.はソチ五輪の開会式にて

 レーナとユーリャはt.A.T.u.時代は友人としての関係を保っていた。レーナの母親によれば、2人は「姉妹のようだった」という。しかし、解散後、2人は相手を受け入れることができず、断絶した。しかし2014年に2人はソチで開かれた冬季五輪の開会式で共演を果たす。2人はロシアチームの非公式応援ソングとなった「Нас не догонят」(わたしたちには追いつけない)を歌った

5. グループ再結成

 10月2日、レーナ・カーチナはインスタグラムに投稿し、2022年の春にトリビュートコンサートを開催するため、グループを再結成すると発表した。つまり1回のコンサートのためだけの再結成である。「わたしたちはトリビュートショーをやると言っただけなのに、再結成だと報じられたのです。わたしたちは再結成するつもりはありません。t.A.T.u.はすでに過去のものです。そのとき、自分の役目を果たしただけです」とカーチナは語っている

 合同のコンサートを開くというアイデアは、t.A.T.u.の生みの親でプロデューサーのイワン・シャポヴァロフのアイデアだという。あの「ミュージック・ステーション」への出演をドタキャンさせたあの人物である。

 ファン待望の再結成が見られるかどうかはまだはっきりしない。t.A.T.u.の主なヒット曲を書いたセルゲイ・ガロヤンは、「わたしたちには追いつけない」、「All the Things She Said」、「30 minutes」を含む自作の曲をコンサートで使用することを禁じるとした。

 一方、レーナは、別の形でユーリャと共演する可能性があるとも述べている。2人が、ストリーミング放送用のドラマにダブル主演で出演するという話が出ているとのことである。

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