ロシアで採れるもっとも一般的なキノコ10種(写真特集)

ライフ
エレオノーラ・ゴールドマン
 ロシア人は世界でもっともキノコ好きな国民であるように思われる。そしていわゆる「静かな狩り」であるキノコ狩りに夢中なのである。

 ロシア人の「キノコ狩り」好きは、遺伝子レベルのものであるようだ。しかしこれも驚くべきことではない。何世紀もの間、ロイトベルクイア人は森のキノコを食べてきたのである。もっともキノコ狩りが得意なのは子どもたちであり(大人は忙しすぎるため)、キノコ探し比べをした。どちらのキノコがよりよいかを競うのである。キノコには「ヒエラルキー」がある。収穫の時期、人々はもっともよいキノコだけを選んで採る。そしてオフシーズンには、なんとか食べられるようなものでも採るのである。

 今は、昔のように栄養素としてキノコを食べる必要性はもうないが、それでも百万人のロシア人が今もキノコ狩りに熱中している。かつてのキノコの栄養で見たヒエラルキーは、もっとも熱心なキノコ狩り好きの頭にしか残っていない。そしてどのキノコハンターにも、お気に入りのキノコがある。

 普通、ロシア人は子どもの頃から知っているキノコを集めるが、最近は特定のキノコを探す手助けをしてくれるソーシャルメディアのページやアプリがある。

 キノコのシーズンは5月に始まるが、皆が大好きなキノコは9月から10月に姿を表す。

 

1 – アンズタケ

 このとてもかわいい「しょうが」のようなキノコは、8月の終わりごろに中央ロシアに現れる。アンズタケは、落葉樹と球果植物の木々の間に隠れている。普通は集まって生えているため、キノコ狩り好きの人々の間では、「アンズタケの空き地」という呼び名があるくらいである。

 「キノコを食べるよりも集めるのが好きなんです」とあるロシア人ユーザーは書いている。「ときに、アンズタケを一つ見つけて、そこから次々と見つけては採り、見つけては採り・・・と進んでいくのが興味深いのです。カゴはもう一杯なのに、その場から離れられなくなってしまうのです」。

 アンズタケの良いところは、虫が付いていることが少ないことである。アンズタケのもっともおいしい調理法は、ジャガイモと炒めるというものだが、しかしアンズタケを使ったレシピはこれ以外にもたくさんある 

 

2 – ヤマドリタケ 

 白いキノコは、すべてのキノコの中の「ツァーリ(皇帝)」と呼ばれる。見るだけで、美しくて、ふっくらしていて、生のままでも食べられる。ヤマドリタケも、針葉樹と球果植物の森の中に生育していて、それほど湿っていない土を好む。 

 「わたしの祖父はいつも、白いキノコは、もっとも価値があり、もっとも栄養があると言っていました」と別のユーザーが指摘する。「菌糸体を傷つけないよう根元でカットしなければなりません。美しい形を損ねる理由などないからです」。 

 とはいえ、ロシアの森では、人間だけでなく、虫もキノコを狩るので、キノコは十分にチェックすること。

 

3 -  ヤマイグチ 

 ロシアでは、イグチ科のキノコのいくつかの種類をまとめて「ポドベリョーゾヴィク」と呼ぶ。それらはいずれも食べることができ、お互い、違いは色と傘の多きさくらいの差しかない。「ポドベリョーゾヴィク」というのは、白樺のそばという意味で、その名の通り、白樺の近くに生えている。

 「キノコのシーズンに白樺の近くを少し自転車を走らせるだけで、朝のスープ分くらいは必ず採れます」と書いているのはセルゲイ。「だからわたしはこのキノコが好きなのです。そんなに簡単に採れるのですから。朝、自転車でキノコ狩りに出かければ、両手いっぱいのヤマイグチが採れます」。 

 ヤマイグチは、炒めてスープに入れるか、酢漬けにして瓶詰めにしていただく。

 

4 – キンチャヤマイグチ 

 これもイグチ科のキノコだが、ポドベリョーゾヴィクとは異なり、赤みがかったオレンジ色の傘をしていて、ヤマナラシのそばに生育する。ちなみに、幼齢林に単独ではなく、大きな集団になって生えている。

 

5 – ヌメリイグチ 

 「ヌメリイグチには疑いようのないメリットがあります。それはキノコ狩りにもっとも適しているということです」と書いているのは、キノコ狩りが好きなヴィクトルさん。  

 もう一つの利点は、北方にもよく生育している点である。幼齢の松林の草地を好む。ロシア語の名称「マスリャータ」は、「油」という言葉に語源を持つ。傘にヌメリがあるからである。

 

6 – マッシュルーム

 このキノコは、ロシアのお店でもっともよく見かけるキノコであるが、多くの人々が自然の中で狩るのを好む。草地や放牧地の土を好む。

 「マッシュルームは、マッシュルームと湿気と少し肥料の匂いがします。お店で買った(温室育ちの)マッシュルームは何の匂いもしないのです」とロシアのキノコ狩り好きの人は話している

 

7 – ベニタケ

 ベニタケには色々な種類と色があるが、ロシアの森でもっとも一般的なキノコである。しかしいくつかの種類は調理しないと食べられないので、知っている種類のものだけを採る方がいい。

 

8 – チチタケ

 一見、このチチタケはおいしそうに見えず、白樺のそばの葉の陰に隠れている。しかし、真のキノコ好きは、このチチタケを探すのに最高に熱くなる。

 「チチタケを採るのはとても興奮し、見つけたときは本当に幸せな気分になります。しかもかたまって生えているときの喜びは最高です」とウラル出身のキノコ狩り好きは言う

 チチタケは、調理する前に、苦味をとるため、数時間水に浸す(あるいは茹でる)とよい。その後は炒めるか保存食として塩漬けにする。本当においしい。

 

9 – アカハツタケ

 このキノコもチチタケ属のキノコで、調理すると消える苦味がある。そこでピクルスにされることが多い。球果植物の森にかたまって生育し、「しょうがのような」傘を目印に見つけられる。 

(アカハツタケのレシピはこちらから

 

10 – ナラタケ 

 切り株や倒木の上に生え、見た目は恐ろしいが、実はロシアではもっともキノコ狩りでよく見かけるキノコである。

 「ナラタケはわたしの一番のお気に入りのキノコです。細かく切って炒めたものが一番おいしいですが、ピクルスも劣らずおいしいです」と書いているのはロシアのキノコ狩り好き。「それにその香りはとっても高貴なんです」。

 

 あなたはどのキノコを採るのが好きですか?