ザ・シンプソンズがソ連風に衣替え

ライフ
ニコライ・シェフチェンコ
 あるロシア人芸術家が有名アニメ作品の登場人物を典型的ソ連風アニメ・スタイルで描いた。

 ロシアのアマチュア芸術家、プロコピイ・ウリャショフ(27歳)がザ・シンプソンズをソ連時代の有名なアニメ・シリーズの登場人物に模して描きなおした。

 「30分もののザ・シンプソンズ第1話が初めて放送されたのは1989年12月17日のこと。有名な『ソファのシーン』をソ連の伝説的なアニメーターが描いたとしたらどうなるのか想像してみた。これらの絵と短いスレッドは[下記の通り]」と、2020年12月17日にウリャショフは書き込んでいる。 

 「アニメ『昔々あるところに一匹の犬がいた』『マルティンコ』『王女と鬼』、その他多くの作品の作者であるエドゥアルド・ナザロフ(1941年―2016年)風に描かれたザ・シンプソンズのソファ・シーン。ナザロフは大好きなソ連時代のアニメーターのひとりだ」。

 「ナザロフは、『昔々あるところに一匹の犬がいた』という素晴らしい映画の作者としてよく知られている。この名無しの犬は、サンタの小さな助手の代わりにこの家族ととても仲良くしていたとか(笑)」。 

 「アニメ『キャプテン・ロンゲルの冒険』『アイボリット先生』『宝島』などの作品を生み出したダヴィド・チェルカススキー(1931年―2018年)風に描かれたザ・シンプソンズ」。 

 「驚くべきことに、子供のころ、これらの変わった唇で鼻の大きい登場人物たちを嫌だと思ったことはなかった。『宝島』を最初に見たのは大人になってからで、大声で笑い転げたものだ。チェルカスキーが90年代には資金が不足でさらに映画を作ることが叶わなかったのはとても残念なことだ」。

 「アニメ『プラスティシーンのカラス』『翼』『脚と尻尾』『コロボックスによって行われた調査』などを作った、アレクサンドル・タタルスキー(1950年―2007年)とイーゴリ・コヴァリョフ(1954年生まれ)風のシンプソンズ一家」。 

  「興味深いことに、イーゴリ・コヴァリョフは90年代にアメリカに渡り、クラスキー・クスポ・スタジオで働き、『ラグラッツ』シリーズ、『ぎゃあ!!!リアル・モンスターズ』の制作にかかわり、ザ・シンプソンズの最初のシリーズの美術スタッフでもあったのである」。

 ウリャショフは、アメリカ人は、ソ連崩壊後の国々で育ち、子供のころより上述のソ連マンガに親しんだ人たちほど実験的試みにありがたみを感じないと指摘する。

 ウリャショフは、ソ連アニメをよく知らない人は、『今に見てろよ!』『雪の女王』や他の傑作ソ連アニメを見ると良いとリコメンドしている。

 ウリャショフは意気盛んな芸術家たちに、情熱を絶やさずに夢を追いかけるべきだと説く。「試行錯誤することを恐れてはならない。あなたのアイデアを欲している人がどこかにいると信じることはとても大切だ。そしてあなたの作品を愛する人たちが最終的に現れるのだ」とウリャショフは言う。

 ウリャショフはモスクワのアニメ・スタジオ、「ソユーズムリトフィルム」でマーケティング・スペシャリストとして働く。 

 彼はザ・シンプソンズがいつも好きだったと言う。2001年に初めて見て以来、お気に入りの登場人物たちにいつも心を寄せていた。

 「自分はザ・シンプソンズの大ファンで、グッズを集め、全シリーズを観た」とウリャショフは言う。

  ザ・シンプソンズは主にアメリカ人のライフスタイルを描いているのだが、そのテーマは万国共通だとウリャショフと信じている。

  「これらのシリーズがとても人気あったのは遠い過去であったと言うのに、未だにこんなに注目を集めているにはとても驚くべきことだ。しかも未だに続いていて愛されているのはこれが万国共通だからだ。描かれているテーマは、家族愛、町の生活、さまざまな個性など、普遍的で誰にも関係のあることだ」と、ウリャショフはザ・シンプソンズの幅広い人気の秘密をこう説明する。

  彼の作品とスレッドの最後に、この芸術家はよく知られたアニメ主人公をかなり異様に描いて時折投稿している自身のインスタグラムを読者に紹介している。

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