コロナウイルス感染拡大の中、ロシアのボランティアたちはどのように活動しているか?

Artur Lebedev/Sputnik
 ロシア全土の何千人もの勇敢な人たちが、自宅隔離をしている人たちに食料や薬品を届けている。

 「このマンションに住むおじいちゃん、おばあちゃんたちへ。わたしは5号室に住むゴーシャです。わたしたちの街には今、コロナウイルスが広がっていて、あなたたちもその危険に晒されています。外出は控えて、家に留まっていてください。わたしたちは隣人として、お役に立ちたいと考えています。今、必要なものはありますか?必要なものを無料でお届けします。頑張ってください!」

 3月中旬、ロシアでは65歳以上の人たちに外出自粛が要請され、これを呼び掛るポスターが大きなマンション地区に貼られ出した。

 しかし、コロナウイルスの感染拡大が深刻になるにつれて、ロシアの各地方の当局は、厳格な隔離政策の実行を決定し、全世代の人々を自宅に留めるようにした。こうなれば、もう隣人同士で助け合うことは出来ないし、自分と助けようとしている人たち双方に害が及んでしまうかもしれない。そこでボランティアたちが登場したのである。彼らはきちんと教育されており、固い感染防御で準備万端だ。

 

誰がボランティア活動をしているのか? 

 ロシアでは、多くのボランティア団体が存在している。大まかにいって、ロシアのすべての地方、都市、大都市区域に、こうしたボランティア団体の支部があり、すぐに活動できる状態になっている。

 「We are together(我々はみな共に)」という全国規模のキャンペーンが3月30日に始まった。このキャンペーンはこれまでに同じような活動を行ってきたロシアボランティア協会が進めていたものである。

 新たにウェブサイト、https://мывместе2020.рфも立ち上げ、ボランティア希望者が簡単に登録でき、援助希望者も簡単に要望できるようになっている。

 外に出て人々を助けたいという意志を持ち、新しくボランティアに参加しようとする勇敢な人は、オンラインで面接を受ける。それから、2週間以内に国外旅行をしていないかが確認される。すべてのボランティアは規則や指示に従う義務があり、勝手な行動は許されない。また、防護具、マスクや手袋を身に着けることが求められる。

 330日から45日までの週、職場は閉鎖されることになった。また、ロシアの大学も休校になったため、学生たちが積極的にこの活動に参加している。

ボランティアは何をするのか

ボランティアたちの訓練

 主な仕事は、日々増え続けている、助けを必要とする人たちの世話をすることである。コーディネーターが要望を電話で受けて、ボランティアをアレンジする。

 モスクワだけでも、65歳以上の人はおよそ180万人いるが、そのうちの20%は、助けてくれる親戚もいない孤独な人々である。モスクワのボランティアは、自分たちの地区にいる交通機関を使わずに歩いて行けるところに住んでいる年金生活者たちをサポートしている。

 助けは誰でも求めることが出来る―そしてボランティアは要望リストに基づいて食料、薬品や他の必需品などを買う。

 ゴミ出しもしてくれるし、犬を散歩させてくれたり、ペットフードを届けたりもしてくれる。ボランティアの中にはプロである犬の専門家もいるので、このような非常時にも対応できるのだ。

 

 様々なチャリティー活動を行っている多くの人も、今、方向転換している。たとえば、タタール共和国のアルビナさんは、今は子どもだけでなく、定年退職した人たちのサポートも行っている。「困っている人を助けるのはわたしの国民としての義務です」と彼女は言う。通訳や自動車を持っている人もまた、移動手段の提供から勉強の手助けにいたるまで様々な方法で積極的なサポートを申し出ている。 

 ボランティアの活動でもう1つ大事な事は、自己隔離している人たちに対する情報提供である。彼らが最新で正確なデータを得ることができるよう、パンデミック期間中に当局から出される指示や行動規範を理解できるようにしてあげることである。

 

医療スタッフへのサポート

 コロナウイルス感染拡大を受けて、新しいボランティアの形も求められている―四六時中食べる暇もないくらい働いている医師のサポートだ。

 ヤンデックスタクシーは、何千台もの車両を、医療機器運搬のために提供している。また同時に、医師が働いているところに無料の食事を届けるフードサービスを準備している。

 モスクワ市民のリュドミラ・ゴルプコワさんは、医療従事者の感染防護手段が不足していると知って、クラウドファンディングで1,600ドル(およそ17万円)を集め、防護服、手袋、マスク、メガネを購入し、いくつかの病院に送った。(こちらから募金を行うことも出来る)

 彼女はまた、心理学者たちとともに、オーバーワークを余儀なくされ、常に危険に晒されている医師のサポートを行っている。

 地方では、医療関係者をサポートすべくいくつかの組織が作られた。ボランティアは市民からの電話を受けてそれぞれの状況に応じてどのように行動するのかを指導をしている。そのようにして人々が医師を振り回すことなく、医師が緊急のコロナウイルス対策に従事できるようにしているのである。

  最近、モスクワの主要なコロナウイルス感染症病院の医師長(最近の検査で陽性が確認された)は、医師たちのチャットを一般公開した。そこでは、医療従事者が自分たちの専門的な分野の問題について話し合っている。これには、国外の何百人もの医師たちも参加しており、ボランティアの翻訳者が他の国から参加している人々が、それぞれの経験を共有するのを助けている。

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