ロシア国外でふつうのロシア人観光客を見つけたい?それに役立つはっきりした手がかりがいくつかあるので、覚えておこう。もちろん、最近のロシア人にはいろんな人がいるけれども、彼らの多くは自分がロシア人であることを隠そうと躍起になる。理由は簡単だ。そういうロシア人は、海外のロシア人観光客と見られたくないのだ。成金はたまた「旧ソ連圏の貧民」と思われたくないから。
そういう人々は、靴を脱いで靴下にスリッパを履かぬことを学んだ。飛行機がぶじ着陸しても拍手しない。それでも、ロシア人に付きものの習慣はいくつもあり、それを我々は今探そうとしているわけだ。
もちろん、ロシア人だけがたくさんお茶を飲むわけではない。イギリス人、中国人、インド人、日本人、そしてもちろんトルコ人も大好きだ。しかし!である。誰かが食物といっしょにお茶(またはコーヒー)を注文したら、それはまず間違いなくロシア人だ。
信憑性のありそうな説明の一つは、ソ連の学校の食堂ではお茶が食べ物と一緒に出され、しかも、食事のための休憩時間が限られていたことだ。だから、子供たちは、お茶と食物を同時に胃袋に流し込まねばならなかった。
レストランでの男女の振舞い方についても、いくつか特徴がある。読者の皆さんは、すでにロシア・ビヨンドで読まれたかもしれないが、ロシア女性は、男性がドアを開け、コートを着せてくれるのを当然だと思っている。だから、もしその男性がそうしていたり、逆にあからさまにそうすることを避けようとしているときは、ははあ、ロシア人だな!と思っていい。
ただし、もっと微妙な手がかりもある。ロシアでは今でも、男性が食事の支払いをする慣わしだ。正式なエチケットでは、まず女性から始まって各人が別々に食事を注文するが、ロシアのカップルでは、多くの場合、まず男性が女性に何を食べるかを尋ね、それからまとめてウェイターに注文する(その間彼女はぼんやりスマホを見たりしている)。
チップについて言えば、「伝統的な」ロシア人は、サービスが本当に良かった場合しか払わないでいいと信じている。だから、もし誰かがチップを出さなかったら、ロシアの習慣だと解釈できる。ウェイターはもちろん、「ふむ、ロシア人か!」と思う。
そう、もしあなたが彼/彼女に「タバコ持ってない?」とねだったとしても、ロシア人はあまり気にしない。ロシアでは、何によらず助け合うことは、もちろん喫煙者にとっても、当然の務めなのだ。タバコの予備があるのに与えるのを拒むのは失礼である(もちろん、あなたが喫煙者で、相手もそうであることが分かっている場合の話だが)。
これがアメリカなら、タバコを10セント硬貨と交換しなければならないが、ロシアでは、1本はタダだし、3本だってねだれるかもしれない(そこに何人か友だちがいて彼らが欲しがればだが。神は「三位一体」を愛するのだ!)
それから、ロシア人は、ビールを一口、いや数口でも平気で飲ませる。ロシア人にはアルコールは惜しくない。それを一緒に飲む友だちが大事なのだ。
ファッションについて言えば、いつでもどこでも、ちょっと食料品を買いに行くときでさえも、「ばっちり着飾ること」は、ロシア女性の主な習慣の一つだ。とはいえ、ロシアの新世代の女性は常にイブニングドレスを着るようなことはしなくなっている。フランスやスペインの女子と同じくらいカジュアルになってきた。
にもかかわらず、服の「上」と「下」にはまだヒントがある。つまり、髪と靴のことだ。路上が泥、みぞれ、雪でぬかっていても、靴は常に完璧にきれいだ。髪は、ヘアスプレー、ヘアアイロンなどで「微妙に」スタイリングされている。
自撮りの「現代アート」に関しては、ロシア人が特に際立っているとは言い難いだろうって?ちよっと待った!ロシア人と長年付き合った何人かの外国人が指摘した微妙な特徴を次に挙げよう。
ロシア女性は、ポーズをとるときに、片方の足をもう片方の前に微妙に出すことがよくある。あるいは手を腰に当てたり、つまり、月並みな写真をちょっとカッコよく見せるようなことをする。そして、カメラに向かって微笑まずに、女性雑誌風の表情をするだろう。
これは、すべての写真が、単に友人との楽しいひと時を映すだけでなく、インスタグラムの最新ポートレートになる可能性があるからだ(雑誌風の表情が本当に場違いに見えることもある。例えば、その写真に何かすごく恐ろしい、あるいは見苦しい風景が含まれているような場合だ。そういう状況でもその女の子は、まるでカンヌ映画祭の人込みの中にいるみたいな表情をしたがる)。
もう一つ、ロシア人かも?とピンとくるヒントを挙げよう。他のロシア人にも、「おっ、こいつは絶対同胞だ」と分かるものだ。それはつまり被写体の意味を誇張するような振舞いである。彼/彼女はまるでこう言っているかのようだ。「今、私はエッフェル塔の傍にいる。ひょっとしてあなたは、この驚嘆すべき事実が腑に落ちていないかもしれないので、私はわざとあなたの疑問と驚きをまねてみせよう」
もちろん、いくつかの古典的なポーズのパターンがある。そのうちの一つは、両手を横に広げるものだ。まるで、スイスのアルプスを見ている人に、その人が既に感じている以上の何かをさらに感じさせようとして、手招きしているみたいに。
私のフランス人の友達が気づいたことだが、ロシア人のもう一つ奇妙な点は、「液体石鹸への恐怖」だ。ロシア人は、保湿クリームの薄い層を残す液体石鹸ではなくて、手から完全に洗い流せる固い石鹸に慣れている。
液体石鹸は、たぶんロシア人は好きではないのだ。母親が子供の頃に使っていた安価な石鹸に自分も慣れているからだろう。この固い石鹸は、「ロシア人をタフにするもの」のリストに入れてもいいかもしれない。
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