ロシア人が春までクリスマスツリーを片付けない理由

ライフ
アレクセイ・ベリャコフ
 おそらく答えは簡単だ。私たちの生活には明るさと輝きが少なすぎるからだ。

 友達に訪ねに行ったのは3月のことだ。彼はおもちゃのクリスマスツリーを持っている。輝いている。私は尋ねた。「まだ新年を祝っているのか?」友人が微笑んで「うん!」と答えた。彼は次のように付け加えた。「でも、すぐにすべて片付けるよ。」

 そして、夏にその友人を訪れた。まだクリスマスツリーは輝いていた。私は尋ねた。「まだ片付けていないの?」友人は答えた。「さて、今は夏、楽しい!みんな気に入っているよ。」

 そして、秋に彼のところに行った。ツリーが置かれていた。私は何も尋ねなかったが、友人はこう言った。「もうすぐ新年、片付ける必要ないよね?」

 新年はロシアで最も人気の休日だ。比較できるものはない。ソビエト時代の祝日はとうに忘れられた。十月革命の記念日を祝っていたことを覚えているのは50歳以上の人だけだ。キリスト教の祝日も祝われ、時にはイースターのように壮大なスケールで祝われるものもある。信心深い人でなくても喜んで酒を飲む。それでも、最も愛されている祝日は新年だ。

 クリスマスツリーを買って、それを飾り付けるのは、とても楽しいセレモニーだ。それは子供でも大人でも同じだ。最近、ソーシャルネットワークにクリスマスツリーを投稿し、自慢することが重要になっている。

 そして、祝日が過ぎたら、クリスマスツリーを片付ける必要があるようだ。いいえ、しかし、ロシアではだれもがこのように答える。「旧暦の新年まで、私たちはツリーを片付けない。」旧暦の正月はロシアの特別な伝統であり、1月13、14日の夜に行われる。これは、革命以前の旧暦による祝日だ。そして、祝日はすでに終わっているが、ロシアでは祝っている。確かに、世界の新年よりも控えめだ。

 しかし、この時期も過ぎた。ここで、最もせっかちな人々はクリスマスツリーを片付ける。ツリーが本物なら片付けなければならない。針葉がカーペットや靴の上に散らばってしまう。

 しかし、ツリーが人工のものなら、急ぐ必要はない。冬の終わりまで放置しよう。美しく、スマートで、楽しい。誰も気にしない。

 しかし、冬も終わった。強情な木だけが立ち続ける。それは雪が消えて草が生える3月末か4月まで続く。これは競争のようなものだ。どの家のツリーが長く残るか。ソーシャルネットワークではこのように自慢されている。私たちはまだクリスマスツリーを片付けていない!と。

 そして、誰も特に驚かない。それどころか、喜んで支持をする。

 そしてここで、重要な問いはこれだ。なぜこんなに長くオーナメントなどの飾りをつけたままツリーをそのままにしておくのか?

 答えは簡単だと思う。ロシアでの生活はそれほど楽しいものではない。特に地方では。そして、私たちロシアの都市にはそれほど多くの美しいものはないのだ。まあ、モスクワやサンクトペテルブルクは別だが。そして国土は広大だ。典型的なロシアの都市にあるのは、いくつかの教会と邸宅がある小さな歴史的中心地だけだ。そして、集合住宅の近くには、工場のパイプやコンクリートの壁があるだけだ。憂鬱。私はロシアをよく旅行して見て回った。 ナリチクとアバカン、ペルミ、ユジノサハリンスクを見分けることはできないだろう。ああ、周りの風景だけが異なる。それ以外はすべて標準的で退屈だ。まれに建築的名所と呼ばれることもある新しいショッピングセンターを除いては。

 光沢のあるオーナメントを備えたこのツリーは、全体的な鈍い風景に対する私たちの小さな美的挑戦だ。あなたは仕事で一日を過ごし、みすぼらしい都市を通り抜け、どれも見分けることのできないお店に行く。そして、2つの部屋とキッチンのある小さなアパートに帰る。そこにあるのは典型的なイケアで買った家具か、ソビエト時代からのものだ。しかし、クリスマスツリーは喜びなのだ!それを見てちょっとだけ明るい気持ちになる。

 私が確信するのは、一般に、これと同じ理由でロシア人の女性はとても明るいメイクをするということだ。集合住宅を背景に、彼女たちは見栄えすることを望み、灰色の現実世界とは対照的になりたいと思っている。そしてロシア人男性はそれが好きだ。

 私たちロシア人は明るい色が大好きだが、グレーの色合いに囲まれて生活している。これは逆説だ。

 クリスマスツリーは、少なくとも私たちにとって色鮮やかさをもたらす選択肢となっている。

 そして最後に、もうひとつ理由がある。クリスマスツリーを分解し、このおもちゃを箱に戻すことは、最もエキサイティングなアクティビティではない。かなり悲しいことだ。そして、このように言い合うのだ。「わかった、明日片付ける」。

 しかし、そのような明日は来ない。ああ、急いで行く場所はないのだ。とにかく、次の新年はすぐにやってくる。