松屋フーズは牛丼、カレー等を販売する「松屋」をはじめとした飲食店を日本国内に約1170店舗チェーン展開している。
日露の民間レベルでのビジネス交流強化が推し進められている中で、松屋フーズは手を挙げた。松屋フーズが既に海外に展開しているのは、米国、中国、台湾の3地域のみ。欧州一号店、かつロシアという事前情報の少ない国ということもあり、社内でも驚きの方が多かった。実際にモスクワに来てみると、日本人が抱いているロシアの印象や、日本人が認知しているロシアの情報はあまりにも偏っていることに気付いた。日本食レストランがまだ少ないこのモスクワという地で、日本の食を通じて日本の文化を伝えるパイオニアになりたいという思いで出店準備は進められた。
メニューラインアップは、日本の「松屋」の主力商品牛めしをはじめ、ラーメンやカツカレー等、松屋フーズ内の他の飲食店の知恵を集結させた。日本の味を保ちながら、現地の人の舌に合うメニューを作るため試行錯誤を重ねた。経済フォーラムでの出店をはじめ、幾度となくロシアの地に足を運び、実際にロシアの人々に試食してもらうことを繰り返した。例えば、松屋フーズでは、日本国内でカレーを4種類提供しているが、その中でも、辛いものが苦手なロシア人の舌に合う、欧風カレーをチョイスした。
「松屋」のこだわりは、極力現地の食材を使いながら、本格的な日本料理を提供すること。牛肉、豚肉等メイン食材をはじめ、食材の殆どがロシア産だ。白米もロシア産のクラスノダール米を使用している。現地の食材を使用しながら日本の味を再現するのは容易なことではない。「例えば、ロシアの牛肉は日本の店舗で提供しているものより脂身が少なく赤身が多い。より薄くスライスすることで、日本の牛めしに近い触感が出せるようにした。」と担当者は語る。
右:株式会社松屋フーズ執行役員戦略事業部長、安藤吉信さん。左:北海道総合商事株式会社ロシア事業担当部長、山岸健男さん。
丸山香奈子撮影牛めしは、一杯300ルーブル。日本の特盛サイズと同程度の値段帯だ。大学やオフィス街が隣接する好立地を利用して、日本同様、学生やサラリーマン層を第一ターゲットに掲げる。松屋フーズ執行事業部長の安藤氏は、「ロシア産の食材を使用して作った日本の庶民的な国民食を是非味わいにきてほしい」と語り、「目標はロシア全国に30店舗」と添えた。現在は日本からの応援スタッフが常駐し味のチェックを行っているが、将来的にはロシア人のみで運営出来る様に仕組み作りが出来ればと考えている。
現在ロシアで展開している日系の飲食チェーンは丸亀製麺のみ。同社は既に6店舗展開しており、昼時には地元ロシア人で賑わっている。安藤氏は「丸亀製麺はライバルではない。日本の味、日本の文化を伝えたいという思いのもと、一緒に頑張っていく仲間だと思っている」と語った。
松屋メンデレーエフスカヤ店
住所:Sushchovskaya 27, Business center "Atmosphere", Moscow, 127030
営業時間:月―木 11:00―22:00、金―日、祝日 11:00―23:00
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