ワールドカップのあいだに注目すべきロシア選手4人

ライフ
アレクセイ・ティモフェイチェフ
 大会の開幕戦でロシアがサウジアラビアに5-0で完勝し、ロシアのスター選手たちにスポットライトが当たった。

1. イーゴリ・アキンフェエフ

 「僕には子ども時代がほとんどなかったんだ。ひとつには、両親に経済的な余裕がなかったから。父が僕をCSKAモスクワのサッカースクールに連れていってくれた。僕は最初からゴールキーパーの役割が好きだった。他の子たちにとっては罰みたいなものだったかもしれないけど、僕はどんな講習会も逃さないように熱中していた。だから、学校を卒業したときにはディスコにも行ったことがなかったんだ」と、アキンフェエフは言った。彼は、何年もの間、CSKAとロシア代表チームのナンバーワンキーパーだ。

 こうした姿勢は結実した。彼がクラブに来たのは17歳のとき、22歳でキャプテンになった。現在、彼は32歳でサッカー界のレジェンドだ。彼は236試合を無失点に抑え(ロシアリーグで彼に続く記録は、たったの141試合だ)、何度も「ゴールキーパー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。2012-2013年シーズンには、世界のベストキーパーにも選ばれている。

 驚くことでもないが、彼はナショナルチームとして出場したときにも、40試合以上という最多の無失点記録を作っている。アキンフェエフは、ロシアでのW杯でもゴールを守っているが、自分の息子にサッカー選手になってほしいかと訊かれると、「彼にはもっと静かな人生を送ってほしい。サッカーを仕事にするのはとても大変で、誰もができることではない」と答えている

2. フョードル・スモロフ

 スモロフはFCクラスノダール所属の28歳のフォワードだ。彼は2015年にこのチームに加わり、最初のシーズンに20ゴールを決め(ゴールデン・ブーツ賞を獲得)、2009年以降、ナショナルチームのメンバーとして23試合に出場し、単独ゴールを達成して驚かせた。2016年には18ゴールを決めて、最高に熱いストライカーとなり、再び成功をおさめている。その翌年には、スペインのスポーツ紙『マルカ』が、世界のサッカー選手ベスト100にスモロフを入れた

 彼は今、ロシアのメイン・ストライカーだ。彼のデビューは2012年のアメリカ戦で、試合開始9分目に、ロシアのサッカー史上最速での初ゴールを決めた。スモロフは、フランスチームの監督ディディエ・デシャンに高く評価された。デシャンはロシアとの親善試合の後、スモロフを「非常に熟練した選手」と絶賛した。

 スモロフは2016年のインタビューで、イングランド、イタリア、ドイツ、スペインのヨーロッパトップチームでのプレイを希望していたことを語った。

3. アレクサンドル・ゴロヴィン

 サウジアラビア戦で2018年W杯最初のスターの一人となったゴロヴィンは弱冠22歳。シベリアの鉱山労働者の家庭出身の彼は、2012年からCSKAでプレーしており、ロシアでも屈指の才能ある選手という名声を確立している。ここ3年間、彼はロシアチームでも成功している。

 W杯直前の『ル・モンド』紙では、この大会で有名になると予想される7人の若手選手のリストにゴロヴィンが入っていた。彼のゴールと総合的なパフォーマンスは、多くの賞賛をもたらし、『ムンド・デポルティーボ』紙は、彼のパフォーマンスを「コンサート」に喩えている。

 メディアの報道によれば、ユベントスとバルセロナは、ゴロヴィンを自分たちのメンバーに加えることを検討中だ。ゴロヴィンは、イタリアのジャーナリストたちに対し、興味を持ってもらったことは光栄だが、今はW杯に集中していると語った。

4. アルテム・ジューバ

 ゼニト・サンクトペテルブルクのストライカーは、W杯のサウジアラビア戦で、ゴロヴィンからまわってきたボールで美しいヘディングシュートを決めた。彼は出場1分後にスコアシートに自分の名を刻んだのだ。イングランドの伝説のサッカー選手でTV司会者のゲーリー・リネカーは、自身のTwitterアカウントに「スーパー・ジューバ」と書きこんで、ジューバのシュートにリアクションした。

 ジューバは、7年間(23試合、11ゴール)ロシアナショナルチームでプレーし、このW杯は自分にとって特別なものだと言っている。「W杯でプレーすることは、どんなサッカー選手にとっても夢で、僕はずっとそれを目指してきた。いま僕は、自分がサッカーをしてきたことは無駄じゃなかったと実感している。今日、僕たちは、国全体が自分たちと一緒にいてくれること、すべての人がチームを応援してくれていることが本当に分かったんだ。いちばん大切なことは、僕たちが皆をハッピーにできたということだ」と、ジューバはサウジに圧勝した後に話してくれた