難なく45000㌖:地球を駆け回るロシアのミニバンがアフリカに挑む

ライフ
ダニエル・チャルヤン
 2人のロシア人冒険家が、世界一周の旅のアフリカの部をロシアの年代物のミニバンUAZで走破した。彼らの冒険の様子を、息を呑むような写真とともにご紹介しよう。

 およそ45000㌖と45ヶ国を駆け抜け、2人の英雄は世界旅行のアフリカの部の最終地点、コンゴ共和国に降り立った。正確には、彼らはこの地に信頼できるUAZバン、通称「ブハンカ」(原義は「(切り分ける前の)食パンの塊」)を残してきた。

 モスクワ人のアレクサンドル・モロゾフとニコライ・バランジンスキーの現在地は今のところ一旦モスクワだ。彼らが世界一周旅行のために開設したフェイスブックのブログ「ブハンカ・トラベル」によれば、彼らは5月にアフリカへ戻ってコンゴ共和国から旅を再開するまで、しばらく休息を取っている。

  1月に大きな節目を迎えた。モロゾフとバランジンスキーはガボンで初めて赤道を越えたのだ。これに先立ち、彼らはヨーロッパを走破していた。フィンランドから始まり、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ポーランド、リトアニア、オーストリア、チェコ、リヒテンシュタイン、スイス、イタリア、フランス、モナコ、アンドラ、スペインを駆け抜け、ジブラルタル海峡を越えて、ついにはモロッコに到達した。

 そこから冒険家たちはアフリカ西海岸沿いに、モーリタニア、セネガル、ガンビア、ギニアビサウ、ギニア、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベナンへ進んだ。旅の第2部、すなわちアフリカの部で、彼らはナイジェリアを横断し、カメルーンを南下、コンゴ共和国に達した。

 このプロジェクトは2017年10月に2年間の予定で始まった。旅の第3部はラテンアメリカだ。だがその前に、コンゴ共和国、アンゴラ、ナミビア、南アフリカが待っている。ブハンカは南アフリカから船で南米へ向かう予定だ。

 この象徴的な年代物モンスターに関してまさに驚くべきなのは、とにかく故障知らずということだ。約45000㌖を走り抜け、2人の旅行者が失ったのは2本の車軸と燃料タンクの蓋だけだ。

 アレクサンドルによれば、こうした旅の良さは道中のロマンスに尽きるという。子供の頃からジェイムズ・フェニモア・クーパーの大ファンであるといい、彼自身も車両整備士だ。ユーゴ・ヴォストーチヌイ・クリエールの取材に対し彼はこう話す。「世界旅行をするつもりなら、車が問題だ。それでどういうわけか、趣味が職業に変わってしまった。同志を募り、世界の旅へ連れ出す。そうして私は生計を立てている。」

  彼によれば、旅自体には意外と金はかからない。2人が2、3週間で使った金額は2000~3000㌦だという。そしてもちろん、ツアー旅行では本当の意味でアフリカの大自然の魔法を体験することはできない。

  「予想していた光景とはまるで違った。」西アフリカの風景の印象を尋ねられたアレクサンドルはこう告白した。「見られると思っていた動物たちはすべて自然保護区に押しやられていて、観光客の見世物になっているのだと分かった。今回は西アフリカのギニア、リベリア、ガボンなどを回った。人口過剰、貧困、それと不自然に混ざり合った最新テクノロジー。観光業とは全く縁遠いところで、まるで別の惑星のようだった。」

 アフリカの田舎道を見てアレクサンドルはロシアの田舎を思い出したという。「道がない。あるのは方向だけだ。ギニアでは大きなUターンをしなければならなかった。地図は目の前の現実に全く対応していなかった。地図上に道が描かれているところに、代わりにジャングルが茂っているのだ。」

 だがブハンカに対しては、彼は称賛を浴びせている。「UAZが全地形対応車なのは良いことだ。つまり、他の車がたどり着けないようなところまで到達できる。シエラレオネでは通常なら突破不可能なぬかるみに何度か遭遇したが、ブハンカは難なく乗り切った。45000㌖を問題なく走破したのだから、大したものだ。それにしてもドライバーから金を徴収する方法ときたら、うちの警官たちはアフリカの警察を見習ったほうが良いね」とアレクサンドルは言う。

 いわゆるゼロ星ホテルは決して楽しいものではない。夜は摂氏25度程度だが、快適というわけではない。雨季に入ると、場所によってはマラリアが蔓延する。夜間アレクサンドルとニコライは蚊帳にくるまっていなければならなかった。

 ロシアの冒険家たちが最も気に入った場所はナイジェリアだ。アレクサンドルは「女性が特に気に入った」と笑う。

  我らが英雄たちがモスクワで休養している間、ブハンカは彼らの帰りを待ってコンゴ共和国にとどまっている。第3ステージが始まるのは5月半ばで、コンゴ共和国、南アフリカ、それからラテンアメリカへ向かう。

 彼らのウェブサイトとフェイスブックのページを訪れた人は、旅のどの段階であれ、参加の誘いを受ける。自分に資質があると思うなら、奮って参加しよう!