ウラジーミル・リーさんは1950年代初頭にカムチャツカ半島で生まれた。北朝鮮市民の父親がそこに赴任していたときに、ロシア人女性と結婚した。父親は、駐在終了に伴い、妻とリーさんを連れて故郷の元山(ウォンサン)に帰り、リーさんはそこで育った。
父親が死去したあと、リーさんの母親はロシアに帰ったが、リーさんは北朝鮮に残り、そこで地元の舞台女優と結婚した。大きくなった子どもたちはロシアに留学し、リーさんの母親と暮らすことにしたが、このときもリーさんは北朝鮮を離れることはなかった。そして現在もロシア国籍を保持しながら、北朝鮮に暮らしている。
リーさんはロシアの選挙があるたびに投票に行くことにしているが、投票所は大使館がある平壌(ピョンヤン)に設置される。平壌は彼が住む元山からは200キロほど離れている。