他のどの国でもそうだが、ロシアの法律を遵守している、善良なる市民もまた、狡猾な詐欺師たちに引っかかり、苦労して得た金を失う危険に直面している。ロシア・ビヨンドは、あなたが留意すべき、いくつかの手口を紹介する。
1. 銀行カード詐欺
このタイプの詐欺は世界中で起きており、非常に単純な手口ではあるが、多くの人々、とくに高齢者が犠牲になっている。詐欺師は、「あなたのカードと口座の両方がブロックされている」という“銀行のメッセージ” を送って来る。もっとも彼らは、自分の電話番号を残すので、後であなたは本物のそれと照合できるが。
犯罪者にまんまとだまされた人たちは、その番号に電話して、実際に銀行の誰かと話していると思い込むわけだ。そうなるともちろん、詐欺師はできるだけ多くの情報(カード番号、セキュリティコード、ピンコードなど)を聞き出し、口座から金を盗む。
だが、銀行の従業員は決して、電話でセキュリティコードやピンコードを要求することはない。だから、もしあなたのアカウントに何か不審なことが起きた場合は、銀行のウェブサイトに記載されている番号に電話して確かめることだ。
2. 悪質な法律事務所
ロシアには評判の悪い、まるで吸血鬼のような法律事務所がたくさんある。ただ、これらは、血を吸うかわりにお金を吸い取るのだが。そうした事務所の弁護士は、顧客の成功など眼中になく、訴訟に勝つチャンスがなくても、体のいいことを言って、何でも約束する。
ロシアのニュースサイト「ライフ(Life)」が報じたところによれば、そうした二つの事務所が、裁判を引き受け、確実に勝てると請け合った。だが実は、勝つ可能性がほとんどなかったのは明らかだったのに、事務所は、顧客に前払いするように要求していた(幸い、顧客はそれに同意しなかった)。
「こういう連中は、正真正銘の詐欺師だが、法的には、単に法務を十分遂行しなかったかどで罰せられるだけだ」。弁護士のイワン・フルスロフさんは「ライフ」にこう語ったうえ、この種の事務所では、その弁護士の多くが正式な資格をもたないと指摘した。
法律事務所があなたに無料相談を提供している場合は、注意してほしい。通常、彼らは、ただあなたにやたらと希望を吹き込んで、できるだけ多くのお金をむしり取ろうとしているだけだから。
3. 偽の恋人
詐欺師たちは時には、心の琴線に触れることで相手をだまし、懐を肥やそうとする。サンクトペテルブルクの28歳の通訳・翻訳者、アリョーナ・ヴィトヒナさんは、地元のニュースサイト「フォンタンカ」に、その種の詐欺師に遭遇した経験について語った。
アリョーナさんは、出会い系のサイトで、セルゲイという男性と知り合った。セルゲイは、オーストリア在住のロシア人という触れ込みで、自分は孤独に苛まれており、母国と愛に憧れていると、アリョーナさんに訴えた。
何週間かメッセージを交換した後で、セルゲイは “行動”に出た。泊まっていたホテルの部屋が盗難に遭い、お金を盗まれた、と彼は言い、ペンフレンドに8000ルーブル(約16000円)をできるだけ早く貸してくれ、ちゃんと返済する、と頼み込んだ。
もちろん、こんな手にアリョーナさんは乗らなかった。頼みに応じていたら、金はもう戻ってこなかったろう。まあ、このパターンはむしろありふれたものではある。この手の詐欺師はまず恋愛を装い、信頼を得た後に、金を求めてくる。
4. “事前手数料”の詐欺
ロシアにはもっと手の込んだ詐欺もある(世界のどの国でもそうだが)。あなたは、(架空の)巨額の利益を得られるという電子メールを受け取る。しかし、それを受け取るためには、比較的少額の金額を支払わねばならないと言われる。この種の詐欺は、しばしばナイジェリア王室の名を騙るので、「ナイジェリア王子の電子メール」と呼ばれることがある。
ロシアでも例えば、こんな1通の、なかなか愉快な手紙が登場した。その書き手は、「ナイジェリア初の宇宙飛行士アバカ・トゥンデの兄弟」であるバカレ・トゥンデの代理として書いたという触れ込みだ。
その山師いわく、アバカ・トゥンデ宇宙飛行士は、1990年にソ連の宇宙船に搭乗して軌道を回っていたが、ソ連崩壊に遭い、いまだに宇宙で足止めを食っているという。そのため、ソ連が彼を地球に帰還させられなかったというのだ!(こんなホラ話を信じる人がいると思ったのだろうか?!)。
それで山師たちは、かわいそうな宇宙飛行士を地球に戻す手助けをするよう人々に頼んでいるという次第だ。必要な金額はたったの300万ドル(約3億3千万円)…。幸い、引っかかった人は誰もいない。