ロシア軍の俸給は悪くなかった。戦場で手柄を立て出世階段を駆け上がることも、あり得ない話ではなかった。
だから、1788年初めにロシアのイワン・ザボロフスキー将軍が志願兵募集に、イタリアのリヴォル市にやって来たとき、ボナパルトはすぐさま彼のもとへ向かった。
ところが、難点が一つあった。外国人は、ロシア軍に採用される際に、階級を下げられたのだ。野心的なコルシカ人は、すぐさま大尉になれると当てにしていた。
ボナパルトは、ザボロフスキーとの個別の面談にこぎつけたが、何の成果も得られなかった。ロシアの将軍は、なぜ、何者とも知れぬ一介の少尉に特例を設けなければならないのか、さっぱり納得できなかった。
怒ったボナパルトは、捨て台詞を残して部屋を出ていった。「私はプロイセン軍に勤務する。あそこの国王は、私を大尉にしてくれるだろうさ!」
しかし、彼はプロイセンには行かなかった。まもなく大フランス革命が始まり、ナポレオンを権力の頂点に押し上げることになる。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。