なぜソ連版ディズニーランドは建設されずに終わったか?

ニキータ・フルシチョフ、ニューヨーク、9月1959年

ニキータ・フルシチョフ、ニューヨーク、9月1959年

アナトーリイ・ガラーニン/Sputnik
 ソ連の指導者ニキータ・フルシチョフは、アメリカを訪問したら、ディズニーランドも訪れようと夢見ていたが、この巨大公園の視察を米当局に断られてしまった。怒り心頭に発した彼は、米国よりはるかに優れたソ連版ディズニーランドを建設することに決めた。

 周知の通り、最初のディズニーランドは、米ソ冷戦真っただ中の1955年に、カリフォルニアに登場した。何事でも米国の後塵を拝したくないソ連は、かの有名なエンターテイメントパークの独自バージョンを建設する予定を立てた。

 ソ連版ディズニーランド建設の最初の提案は、ニキータ・フルシチョフが1959年の米国公式訪問から帰国した後に行われた。興味深いことに、彼の強い希望にもかかわらず、ソ連の指導者は、訪米中にディズニーランド訪問を拒否されてしまった。

 ディズニーランド訪問に関するフルシチョフの希望は、米当局からしてみると藪から棒に出てきたもので、まったく予定外だった。米治安機関は、あの巨大な公園で安全を確保するだけの十分な時間がなかったとして、訪問は許可できないと彼に告げた。

 ソ連の指導者は怒りを露わにした。「公園でコレラが流行しているとでもいうのか?それとも、ギャングがそこを占拠して私を殺すとでも?…そんな状況は到底想像できない!」

 ソ連の指導者は、ディズニーランドを直接見られず、たいそう落胆したが、ソ連の子供たちのために同じようなものを造ってやる!というアイデアを思いついて帰国した。この大プロジェクトは「不思議の国」と名付けられた。

ソ連全体のミニチュア

 しかし実際のところ、ソ連版ディズニーランドは、オリジナルとはかなり異なるものを意図していた。米国の巨大エンターテイメントパークが、ウォルト・ディズニー・スタジオで生まれたあらゆるアニメーションとそのキャラクターたちから成る世界であるとすれば、「不思議の国」は、ソ連の子供たちに自分の国を探索する機会を与えるように構想された。

 この計画によれば、「不思議の国」はソ連の地図の形で設計され、公園の各地区が現実のソ連の各地を反映している。この構想を実現するため、モスクワ西方の郊外の260ヘクタールという巨大な敷地が当てがわれるはずで、公園の正門は「ソ連極東」と名付けられた。

 「オホーツク海」は水中王国(大水族館)として計画されていた。この水族館では、水槽を潜水球(バチスフェア、球形の深海用潜水装置)で潜水して海洋生物を見て楽しむことができる。「ウスリー地域」(ソ連極東の南部)には、巨大な動物園がある、という具合だ。

 こういう構想だから、子供たちとその親は、東から西へ向かってソ連全土を進んでいくことになる。そしてその途中で、興味深い特定のゾーン、アトラクション、ホテル、スポーツ施設などに遭遇し、さまざまなパビリオンや各地域を模したゾーンを探訪することができる。それは例えば、砂漠、ツンドラ、永久凍土、海岸、 山、鬱蒼たる大森林などの地域だ。ソ連の自然の多様性は「不思議の国」に反映されなければならなかった。

 公園の主な観光スポットの1つは、モスクワの巨大モデルで、住宅、モニュメント、人々、車、バスで賑わう通りなど、ソ連の首都を詳細に示す。

 

「不思議の国」の終焉

 ソ連の新しいエンターテインメントパークは、壮大で野心的なプロジェクトだった。最高の建築家たちのほか、ソ連のSF作家、アレクサンドル・カザンツェフとイワン・エフレーモフもプロジェクトに参加した。また専門家たちが、現地調査のために米国に派遣された。

 この大公園の建設は、「コムソモール突撃建設工事」として宣言された。これは、原子力発電所、巨大な海港、新都市など、国内で最も重要な建設工事について使われた用語だ。

 このプロジェクトの予算は6億ルーブルであった。ちなみに、1960年代初めの平均給与は85ルーブルにすぎず、新車は3千~5千ルーブルで買えた。

 「不思議の国」は、夏には毎日30万人、冬には20万人の訪問者を見込んでいた。

 このプロジェクトは、フルシチョフによって完全に承認され、予算支出の第一回分も配分されたが、にもかかわらず、「不思議の国」プロジェクトは実行されることはなかった。理由は、1964年にフルシチョフが失脚し、政権の座を去ったことだ。その結果、彼のプロジェクトの大部分が白紙撤回され、忘れ去られた。以来、ソビエト版ディズニーランドの構想が真剣に提起されることはなかった。

 

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