この料理の基本となるのは、肉を柔らかくし酸味をつけるためにクワス、塩水、もしくはビールでマリネしたポークリブである。これは古くから伝わる料理なのだが、実際には、現代のロシア人の中に、「ヴェレシチャカ」と聞いてピンとくる人は少ない。
ヴェレシチャカは昔はあつく熱したフライパンで作る料理、つまり調理の際に特別な音を持つ料理を指していた。つまり、ジュージューする音を出す揚げ物料理全般である。そんなわけで、卵焼きのことをヴェレシチャカと呼ぶ地方もあるし、フライドポテトのことをそう呼ぶところもある。
民族誌学者はこの料理について、ポークラードで揚げたものにニンジンと濃厚なソースを加えたものだと描写している。このヴェレシチャカはロシアの西部地方でよく食べられているという資料がたくさんある。
スモレンスク州(ベラルーシとの国境地域)では、この料理はクワス(ライ麦パンを発酵させてつくる弱アルコール飲料)、ビールもしくは塩水でマリネしたポークリブで作られるが、ビーツ、ときにはキャベツやキュウリも一緒に入れられることが多い。出来上がった料理はクローブとクミンが加えられた煮込みキャベツとともに出されることが多い。
スモレンスク風のヴェレシチャカには、ローストされたり、塩漬けされたり、茹でられたり、煮込まれたいろいろな素材が仲良く入っている。しかしこの料理は日常的に食べられるものではない。一般的家庭では、重要なイベント、たとえば、宗教上の祝日や服喪の期間だけに食べる。そして多くの親族友人が集まったときに作られる。
材料:
- ポークリブ 1kg
- タマネギ(大)2個
- ポークラード 100〜150g
- パン 100g
- ビールまたはクワス コップ3杯
- 塩、胡椒
- ローリエ、クミン、その他のスパイス(お好みで)
- キャベツ 1kg
作り方:
1. ポークラードを小さく刻み、フライパンに入れる。
2. ポークリブを一口大に切り、塩を振り、フライパンに入れる。15分から20分ほど炒める。
3. 炒めたポークを底の厚い大きな鍋に入れ、中火にかけて、さらに炒める。
4. タマネギを角切りにし、鍋に入れる。
5. コップ3杯のビールまたはクワスを鍋に注ぐ。よく混ぜ、30分煮る。
6. パンを細かくおろし、肉に加える。クミン、ローリエ、胡椒で味を調え、さらに10分煮る。
7. その間に付け合わせを作る。キャベツを大きめの輪切りにする。
8. キャベツのスライスを天板に置き、塩、胡椒、クミンを振り、オーブンに入れ、20分焼く。
9. スモレンスク・ヴェレシチャカはこれで出来上がり。友人や家族と召し上がれ!