ヴァレネツはかまどと乳製品さえあれば作れるというシンプルなデザートであるが、今から200年前には貴族をもてなすデザートとして知られ、宮廷のパーティで出されることもあった。
1822年、ロシアの皇帝パヴェル1世の未亡人マリア・フョードロヴナがパヴロフスキー宮殿(サンクトペテルブルク近郊にある)で将校たちを招いたパーティを開いた。その様子について同時代人は、「ギャラリーに、クッキー、ババ、ホールケーキ、ヴァレネツ、お菓子、オレンジ、キャンディなどのスウィーツが乗ったお皿が並んだたくさんのテーブルが用意されていた」と回想している。
一方、1834年の辞書には、ヴァレネツとは「泡立つまで煮た牛乳をサワークリームで発酵させたもの」と書かれている。
また、レフ・トルストイの妻ソフィアが書いた「レフの昼食」という料理本には、一般的なヴァレネツと発酵ヴァレネツのレシピが掲載されている。
発酵ヴァレネツについて、ソフィア・トルスタヤは次のように書いている。「ヴァレネツが新鮮な牛乳くらいの温度まで冷めたら、ヴァレネツの量に応じて、新鮮なサワークリームをスプーンに1杯か2杯加えて混ぜ、暖かい場所に数時間置いておく。ヴァレネツができたら、地下の倉庫に入れ、氷と一緒に置いておく」。
加熱の温度が低いため、ヴァレネツはクリーム色になり、柔らかい食感になる。ここでは、レストラン「ウフヴァト」のシェフ、ヴィクトル・べレイのレシピを紹介しよう。このレシピでは、りんごのピュレー入り生クリーム、コケモモを添えることで、ヴァレネツに少し酸味を加えている。
ヴァレネツ:
りんご入り生クリーム:
浸したコケモモ:
1. 牛乳1リットルにサワークリームを加え、別の1リットルには砂糖を加える。100℃〜120℃のかまどかオーブンに12時間入れる。その後、3〜4時間、ザルに入れて濾し、余分な水分を除く。それぞれの牛乳を別々の容器に入れ、なめらかにする。
2. りんごのピュレーを作る。青りんごの皮を剥き、水とハチミツと混ぜ、160℃のオーブンで20〜25分温める。加熱したりんごはフォークでつぶし、室温まで冷ます。
3. 浸したコケモモを作る。フライパンで砂糖を溶かし、赤ワインを加えて、砂糖が完全に融けるまで混ぜ、コケモモを加える。
4. 生クリームを泡立て、りんごのピュレーを加える。レストランでは球形にするため、サイフォンを通して亜酸化窒素ガスを添加するが、家庭で作る場合は、木製かシリコンのヘラで、生クリームをそっとりんごのピュレーと合わせ、プレートの中央に乗せ、その周りにヴァレネツ(スプーン2〜3杯)を置き、お好みでコケモモを散らす。
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