脂身を塩漬けする5つの方法(レシピ)

ロシア料理
マリア・ブニナ
 今から100年前、脂身は多くの病気を治す最高の治療薬であると信じられていた。実際、脂身は免疫力を高め、有毒物質を体外に排出してくれるものである。大切なことは、食べ過ぎないこと。1日50グラム以上は食べない方がいいとされている。

 長年にわたって、サーロ(脂身の塩漬け)づくりは、豚肉の脂身を冬の間、保存しておくための重要な方法であった。塩漬けの主な方法は3つ。乾燥(香辛料と塩を塗る)、漬け(漬け汁に浸したあと、燻製にする)、加熱(脂身を茹でる)。このそれぞれの方法にも、地域によって、また家庭や嗜好によって様々なバリエーションがある。

 塩漬けにする脂身は皮のついたものがよい。身体によい栄養素は皮のすぐ近くにあると考えられているからである。脂身は真っ白で、弾力があり、ムラのないものがよく、厚みは3センチから15センチの間であればよい。他のもののにおいがついていないこと。塩漬けにする前に12時間ほど水の中につけておくと、柔らかくなる。肉の筋が入った部位の場合は、塩漬けにより時間がかかる。

1. ニンニクの香りのサーロ

 脂身は茹でたての熱々のジャガイモとよく合う。黒パンに一切れの脂身を乗せれば、ウォトカにぴったりの定番の前菜となる。

作り方:新鮮な脂身(2キロ)はきれいに洗い、乾燥させ、鍋に入れたら、全体に塩をたっぷりつけ、蓋をして、冷蔵庫に入れて5日置いておく。取り出したら、余分な塩を落とし、細かく刻んだニンニク(45片)、ディルの種、コショウ、コリアンダー、刻んだローリエの葉を塗り込む。ラップで包み、冷蔵庫で2晩寝かせれば完成。冷蔵庫に入れておけば、1ヶ月ほど保存できる。

2. お手軽レシピ、1日漬けサーロ

 もう少し時間をかけずに家でサーロを作ってみたいという場合は、このお手軽レシピがおすすめ。作り方は1つめとほとんど変わらないが、脂身を小さく切り、皮を取り除いておく。このレシピでは、肉の筋のない脂身を使う方がよい。

作り方:新鮮な脂身(1キロ)は、皮を剥ぎ、5センチ角に切り、塩、黒コショウ、お好みの調味料を塗り、脂身の間に小さく切ったニンニク(3片)を挟みながら、瓶または鍋に入れる。上から塩をふり、蓋をする。温かい場所に1日おいておけば、翌日には食べられる。食べる前に余分な塩を振り落とす。冷蔵庫で長期保存できるが、1ヶ月以内に食べること。

3. ウラル風サーロ

 このレシピでは、赤身の層がある脂身を使う。 

作り方: 脂身(1キロ)に縦に切り込みを入れ、半分に切ったニンニク(3片)を詰めていく。全面に大粒の塩(100グラム)を塗り、綿の布で包む。暖かい場所に2晩置いた後、冷蔵庫に入れ、3日寝かせれば出来上がり。長期保存する場合は、クッキングシートに包みなおし、冷凍する。

4.  漬け汁を使ったサーロ

 かなり手間のかかる漬け方だが、冷凍すれば1年保存することができる。肉のスジが入ったものでも作れる。塩漬けキュウリ、ライ麦パン、マスタードなどと一緒に食べる。ロシア南部で一般的な作り方である。

作り方: 水(1リットル)に塩(5070グラム)、洗ったタマネギの皮(1個分)を入れる。ニンニク1片、黒コショウ、ローリエを加えて、沸騰させたら、室温まで冷ます。半分に切ったニンニク(3片)を詰めた脂身(1キロ)を、漬け汁が完全にかぶるように入れたら、冷蔵庫に入れ、1週間置く。この間、11回、脂身をひっくり返す。取り出したら、乾かし、お好みでスパイス(コショウ、ローリエ)をふりかけ、クッキングペーパーに包んで、さらに5日間、冷蔵庫で寝かせれば出来上がり。この後、お好みで燻してもよい。

5. 茹でサーロ

 寄生虫を完全に消滅させることができるレシピ。また冷蔵庫で長期保存できるのも嬉しい。

作り方:鍋に水(2リットル)を注ぎ、洗ったタマネギの皮(1個分)を入れ、沸騰させる。塩(大さじ5)と香辛料(ローリエの葉23枚、コショウ23粒)を加え、水が少し色がついてくるまでさらに30分煮る。漬け汁ができたら、濾し器で濾す。脂身(1キロ)は、鍋に入れやすいよう、小さく切り、漬け汁を注ぎ、沸騰させてから20分ほど煮る。鍋を火から下ろし、室温まで冷まし、漬け汁に入れたまま810時間ほど冷蔵庫に入れる。その後、脂身を漬け汁から取り出し、乾かす。ニンニク(45片)を刻み、サーロに塗り、容器に移したら、冷凍庫に56時間入れておく。食べる5分前に取り出し、薄くスライスする。