タバニは、サワー種の生地をベースにした薄いパンケーキである。小麦粉はもちろん、そば粉やえんどう豆粉を使って作ることもできる。通常、特別な日の朝食に食べられることが多いが、訪問客を出迎えるときの伝統的な一品としても出される。またお祭りや野外のマーケットなどでは、地元のストリート・フードとして目にすることができる。
タバニの伝統的な作り方は竃で焼くというもので、まさにピザと同じだと言う人もいるかもしれない。しかし、ピザと違うのは、タバニは鋳鉄のフライパンで焼かれ、膨らんでボールのような形になるということである。竃から取り出し、生地がまた平らになったところにバターをたっぷり乗せて、そのまま器に盛り付けられる。
現在、タバニは普通のパンケーキのように家庭でも作られている。大きな特徴は、生地を長時間休ませてから焼く点である。そのため、生地は少し酸味があり、柔らかくて、もちもちしている。朝食に食べようと思うなら、生地は前日の夜に作っておく方がよい。
タバニにぴったりなのはズィレトソース。牛乳と卵をベースにしたクリームソースである。ドレッシングは甘いもの、塩っぱいもの、色々ある。ここでは牛乳にナツメグを加えただけのもの(ベシャメルソースのようなもの)を選んだ。
タバニについて調べていると、さまざまなトッピングを乗せて作られているが分かった。もっとも一般的なのはネギ、キノコ、肉などだが、リンゴのようなデザート風のものもある。ここではキノコとエシャロット、かぼちゃとスモークベーコンという2種を作ってみることにする。
タバニの良い点は、4等分にカットし、手でつかんでズィレトソースをつけながら食べられることである。
ウドムルトのこの料理は、口の中でとろけるような柔らかい感じがクレープに似ていて、そしてトッピングを食べるとピザにも似ている。いずれにしても、ズィレトソースをつけたタバニがとても独特で、忘れられない料理の一つであることは間違いない。
材料:
ユリヤ・ムリノ
タバニ(8〜9個分):
- 水または牛乳 460 ml
- 小麦粉 230 g
- ドライイースト 小さじ1
- 砂糖 大さじ2
- 塩 小さじ1
- バター 50 gほど
ズィレトソース:
- 牛乳 300 ml
- 小麦粉 大さじ2
- 塩ひとつまみ
- 砂糖ひとつまみ
- バター 50 g
- ナツメグ(お好みで)
キノコのトッピング:
- アンズタケ 200 g
- エシャロット 2本
- バター 15 g
- 塩
- コショウ
- ローリエ
かぼちゃのトッピング:
- かぼちゃ(小) 1/4個
- スモークベーコン 50 g
- 塩
- 調理用油
作り方:
1. ボウルに水または牛乳を入れ、砂糖とドライイーストを加えたら、小麦粉半量を少しずつ足していく。ボウルに蓋をし、8時間ほど暖かい場所に置いておく。(朝食に食べるなら、この下準備を前日の夜にしておくこと)。
ユリヤ・ムリノ
2. ズィレトソースとトッピングも前日に用意しておくとよい。小さめのカップに牛乳を大さじ2杯ほどと小麦粉を入れ、なめらかでダマがなくなるまで泡立て器で混ぜる。
ユリヤ・ムリノ
3. 残りの牛乳に2を入れ、砂糖、塩を加えたら、火にかける。底に焦げ付かないよう混ぜ続けること。
ユリヤ・ムリノ
4. ソースがどろっとしてきたら(5分ほど)、火を止め、バターを加える。香りづけにナツメグを加えてもよい。
ユリヤ・ムリノ
5. ソースを陶器のカップに入れ、粗熱をとってからラップをかけて、冷ます。ズィレトソースは冷蔵庫に入れておく。
ユリヤ・ムリノ
6. キノコのトッピングを作る。油とバターをひいたフライパンでエシャロットを炒め、柔らかくて透明になったら火を止める。アンズタケをきれいに洗って、水分を取ったら、エシャロットと合わせる。調味料を入れ、アンズタケが柔らかくなるまで10分ほど炒める。粗熱を取り、冷蔵庫に入れておく。
ユリヤ・ムリノ
7. かぼちゃのトッピングを作る。ベーコンをフライパンに入れて温める。かぼちゃは4ミリの厚さにスライスし、ベーコンに加える。味を整え、5分ほど炒める。かぼちゃは柔らかすぎない方が良い。
ユリヤ・ムリノ
8. 8時間後、膨らんだ生地に残りの小麦粉と塩を加えて混ぜ、蓋をして、40分休ませる。
ユリヤ・ムリノ
9. 油をひいたフライパンをよく熱し、生地を流し入れる。
ユリヤ・ムリノ
10. ふつふつと穴(気泡)が開いてきたら、トッピングを加える(こちらがおもてになる)。
ユリヤ・ムリノ
11. 表面が焼けたら、そっと裏返し、裏面を焼く。熱いうちにバターを塗る。
ユリヤ・ムリノ
12. タバニを4等分にカットし、ズィレトソースをかける。
13. もう1つのトッピングの方も同じようにする。
14. どうぞ召し上がれ!
ユリヤ・ムリノ