「モスクワ郊外の夕べ」ってどんな味?このケーキを食べればわかる!(レシピ)

ロシア料理
ヴィクトリア・ドレイ
 ナッツ、果物のジャム、濃厚なカスタードクリームを使ったソ連時代の自家製「サンドイッチ」風菓子をマスターしよう。

 ソ連時代にロシアで生活していた人の多くは、GOST菓子(ソ連の菓子製造工場が国家標準規格に則って作る菓子)のひとつで、当時人気のあった「モスクワ郊外のケーキ」のことを覚えているだろう。4層からなるショートクラスト生地の間にナッツと果物のジャムを厚く塗りはさみ、チョコレートでコーティングされたもので、材料もシンプルで、とても簡単に作れるものであったことから、広いロシアのどこででも売られていた。

 このケーキは、別の「モスクワ郊外の夕べ」ケーキにインスピレーションを受けて作られたものだと考えられている。これは同じく家庭で作れるデザートなのだが、こちらの方がよりおいしく、その作り方も凝っている。ちなみに、このケーキの名前は、第二次世界大戦後の1950年代に発表され、20世紀後半以降もっとも人気のある有名なロシア民謡のひとつとなった「ポドモスコーヴヌィエ・ヴェチェラ(モスクワ郊外の夕べ)」から取られた。

 この「モスクワ郊外の夕べ」とそのオリジナルのそっくりさんケーキの違いはフィリングにある。国家標準規格に則って作られた方はショートクラストの間にジャムを塗るだけだが、こちらは、甘いコンデンスミルクでつくった濃厚なクリームもはさまれる。これによってますますおいしくなるのである。ショートクラスト生地自体にも違いがある。また「モスクワ郊外の夕べ」では、ベーシックなものではなく、バニラ味とココア味の2種類の生地を使う。実際は、このケーキは手早く、簡単につくることは出来ない。しかし、ショートクラスト生地にカスタードクリーム、ジャム、ナッツをサンドイッチのように挟むと、家庭でつくれる他のどのケーキよりも驚くほど素晴らしいもののひとつになることは間違いない。 

生地の材料:

フィリングの材料:

クリームの材料:

作り方:

1. 大きめのボウルに室温に戻したバターを入れて、泡だて器かミキサーで白っぽくふんわりするまで数分泡立てる。砂糖、バニラエッセンスまたは砂糖を加えて、さらに5分泡立てる。

2. 卵1個、サワークリーム、塩を加え、なめらかになるまで混ぜる。次に、ふるった小麦粉とベーキングパウダーを大さじ3〜4杯ずつ加え、こねる。

3. 柔らかくて粘り気のないショートクラスト生地ができる。2/3取り、3等分し、丸めて、ラップで包んで冷蔵庫で1時間ほど寝かせる。

4. 残りの1/3の生地にココアパウダーを加え、全体にココア色になるようこねる。丸くまとめ、ラップをし、冷蔵庫で40分から60分寝かせる。

5. 冷やしたバニラの生地をベーキングシートの上に2ミリの厚さに伸ばす。端を切り落とし、正方形か長方形にする。切り落とした端はあとで使うので置いておく。

6. フルーツジャムまたはベリージャムの1/3 を生地の上に均等に広げる。このレシピでは、生地がかなり甘いので、酸味のあるりんごジャムを使っているが、挟むジャムはどんなものでもいい。ただし、焼いているときに、染み出さないよう、濃厚なジャムを使うこと。

7. 直前に刻んだナッツ(こちらではクルミとアーモンドを半々)の1/3を表面にふりかける。

8. 寝かせたココア生地を取り出し、チーズおろし器で生地の1/3を削り、表面にふりかける。天板に置き、200℃のオーブンに入れ15分焼く。

9. あと2枚の生地も同じようにする。同じように焼き、完全に冷ます。

10. 残してあった生地の切り端を集めてのばし、表面が黄金色に色づくまで7分から10分ほど焼く。冷めたら、細かく砕き、装飾用においておく。

11. クリームを作る。片手鍋にコーンスターチと牛乳半量を入れ、ダマがないように混ぜる。牛乳の脂肪分が高ければ高いほど、クリームの味が濃厚になる。甘いコンデンスミルク、残りの牛乳と塩ひとつまみを加え、もう一度混ぜ、中火にかける。

12. クリームを火にかけ、カスタードクリームが固まるまで、絶えず混ぜ続けながら熱する。ラップでカバーし、完全に冷ます。

13. その間に、生クリームを、柔らかい角が立つまで泡立てる。伝統的なレシピでは、ここでバターを使うが、バタークリームが好きでない人はホイップクリームかマスカルポーネで代用してもよい。

14. ホイップクリームと冷ましたカスタードを合わせる。

15. すべてを合わせる。1枚目の生地にたっぷりクリームを塗り、2枚目の生地を置き、同じようにする。

16. 最後に、ケーキの縁に残りのクリームを広げ、生地を砕いたものと刻んだナッツをふりかける。

17. ケーキを冷蔵庫に入れ、5〜7時間(あるいは一晩)寝かせ、しっとりさせたら出来上がり。カットして、ブラックコーヒーとともに楽しんで。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)

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