子どものころはいつもひと夏を郊外で過ごし、祖母の友人を訪ねたことが楽しい思い出として残っている。そこに行くと、いつも必ず、何か甘くておいしいお茶のためのお菓子があった。いちど、よく知らないところへ寄ったときに、そこで出されたものは今まで食べたことのないクッキーだった。固いのだがポロポロしていて、中にベリーのフィリングが入っていた。それから何年も経って、わたしは「ナスィプノイ」・パイ(「重なり合った」という意)、もしくはクランブル・パイを作った。そして、この味を試してみたとき、あのときのあの庭、フロックスの咲く小径、やさしい高齢のご婦人そしてこのクッキーのことをはっきりと思い出した。
クランブル・パイはとても簡単に作れる。世界中で人気があり、いろいろなバージョンがある。フィリングも、採れたてや冷凍の果物、ベリー類、ジャムやそれらの組み合わせたものなどさまざまだ。焼き方によって歯ごたえも違ったものになる。ロシアで人気があるのは、固めのものだ。通常、大きめのオーブン皿で焼かれ、それを切って小分けにした四角い形で出される。
ここではわたしの子どもたちが、「ジャム入りパイ」と呼んでいる、ロシア風クランブル・パイを紹介する。夏の間には新鮮なベリー類も使うが、これは「おばあちゃんの」つくり方と完全に一致する。おばあちゃんは毎年たくさんのジャムを作るのだが、前の年の残り物もあるので、この古いジャムに新鮮なベリーを加えると最高なのである。美味しいものをつくって、なおかつ新しいジャムのためのスペースも出来るのだから。
ロシア風クランブル・パイを作ってみようという気になったあなた。きっとあなたも子ども時代を、デジャヴのように思い出すかもしれない。
材料
焼き型 20 x 20センチ
生地:
小麦粉 - 300 g
バター - 150 g
卵 – 全卵1個、 卵黄1個
砂糖 - 130 g
レモンの皮
ベーキングパウダー – 小さじ1/2
塩 – 小さじ1/2
フィリング:
ジャム – 100 g
ミックスベリー– 150 - 200 g
作り方
1. 生地の材料をプロセッサーに入れる。
2. ポロポロになるまで混ぜる。
3. 後でケーキを取り出しやすくするため、濡らした紙を底に敷く。
4. まず生地を 2/3ほど広げる。
5. 上にジャムを乗せる。
6. ベリーを加える。
7. 残りの生地を上に広げる。
8. 180度のオーブンで45分ほど焼く。
9. 正方形にカットする。どうぞ召し上がれ!