今年のロシア正教の精進期はかなり遅い時期に始まり、5月1日まで続く。この精進期は、復活大祭前に40日間にわたって続くもので、この間、正教徒たちは動物由来のものを食べない。わたし自身は精進期も通常通りの食事を取るが、この時期は卵や牛乳、バターを使わないお菓子を作る絶好の機会である。ちなみに、こうしたお菓子にはさまざまなものがあり、とてもおいしい。このパイはそんな好例の一つである。
ロシアのアップルパイ「シャルロートカ」は、帝政時代から知られる伝説的なデザートと言えるものであるが、ここで紹介するのは完全なヴィーガンスタイルのアップルパイだ。卵や砂糖がたっぷり入った一般的なシャルロートカに比べ、このパイは卵を一切使わない。この低脂肪のペイストリーには、生地に加えるのに普通の水ではなく、フルーツジュースやベリージュースを代わりに使う。甘いリンゴのフレッシュなジュースを生地に混ぜ込むと、パイの味はとても味わい豊かでおいしくなり、低脂肪とはとても思えなくなる。天然のジュースを使えば、砂糖を加える必要がない。ジュースやリンゴの甘さで十分なのである。
もう1つこのレシピで気に入っている点は、フィリングの量である。ここではとてもたくさんのリンゴを使い、生地は本当に少ししか使わない。そこで焼きあがったパイは、柔らかい生地に覆われた焼きリンゴのようななめらかな食感になる。また、ひと握りのベリーをフィリングに加えるとより豊かな味わいになる。カウベリー(コケモモ)やスグリ、ラズベリーなどがよく合うが、それ以外のフルーツやベリーもぜひ試してみてほしい。
1. ボウルにふるった薄力粉、ベーキングパウダー、塩を入れ、お好みで挽いたシナモンを加える。
2. 別の大きめのボウルに植物油、バニラオイル(またはバニラエッセンス)、アップルジュース(フレッシュジュースまたはパックのジュース)を入れる。ジュースの甘みが足りない場合には砂糖50gを加え、よく溶けるまで混ぜる。1の材料を加え、なめらかになるまでかき混ぜる。
3. かなり水っぽいどろっとした生地ができたら、少し休ませる。
4. その間にフィリングを作る。リンゴは皮をむき、芯を取り除き、薄くスライスする。酸味のあるリンゴの方が味に深みが出る。
5. 次に、スライスしたリンゴとカウベリーを加え、やさしく混ぜたら、フィリングが生地になじむよう10分ほど休ませる。冷凍ベリーを使う場合は、解凍しないこと。
6. 型に油を塗り、コーンスターチを振り、生地を流し込む。190℃のオーブンに入れ、45分ほど焼く。リンゴの表面が焦げてくるようなら、ベーキングペーパーで覆って、焼く。
7. 焼きあがったら、粗熱を取って、出来上がり。粉糖をたっぷりかけ、淹れたての紅茶を一緒に召し上がれ!プリヤートナヴァ・アペチータ!
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