ロシアとイタリアの食習慣はまったく違うとよく言われるが、まったくそうとも言えない。少なくともわたしのイタリア人の夫は、多くの共通点を見出している。わたしが夫と付き合い始めたとき、わたしは料理をしなかった。イタリア人の彼はわたしがイタリア料理を作れるなんて思ってもいなかったし、ロシア料理をまだそれほど信頼していなかったからだ。
しかし、わたしの料理の腕のおかげで、わたしはイタリアの家族から多くのことを学ぶことができた。ちょっぴり変わった材料、独特な味の組み合わせ、異なる調理法・・・これらすべてがわたしにとっては新たな世界であった。しかし、わたしはそれを克服し、そればかりか、ロシア料理とイタリア料理の伝統を融合させることにも成功した。たとえば、ロシア的な材料をイタリア風に調理するのである。
そのより鮮やかな例がそばの実のリゾット、グレチョットである。この名前はロシア語の「グレーチカ(そばの実)」とイタリア語の「リゾット」を融合させたものである。ロシアの主要な料理であるカーシャ(粥)はそのクリーミーな舌触りがリゾットを思わせる。どちらの料理もバターの使い方を表現した言い回しがある。それは、「おいしく作るには、入れすぎることはない」というものである。
そこで、イタリア人の夫にロシア料理の重要な食品であるそばの実を紹介するものとして、グレチョットを思いついた。そしてそれは大成功だったのである。
わたしは主な材料にポルチーニ茸を選んだ。そばの実にぴったりだし、わたしの夫が大好きだったからだ。それにわたしの祖母は、精進の時期になるとそばの実のカーシャに乾燥マッシュルームを入れていたので、わたしたちの家族にもこの伝統を持ち込もうと思ったのである。
おいしいグレチョットを作るために重要なことがいくつかある。まず、正しいそばの実を選ぶことが重要である。茶色いローストされたそばの実を使うこと。緑色のものは使わない。次に、粥はクリーミーな状態にすること。ブロス、バター、チーズをたっぷり使う。そして忘れてはいけないのは、愛情もたっぷり注ぐことである。
材料(2人分)
- ローストしたそばの実 125g
- ポルチーニ茸(冷凍) 200g
- ポルチーニ茸(乾燥) 3〜4個
- タマネギ 1個
- ニンジン 1本
- ニンニク 3片
- セロリ 1本
- バター 100g
- 白ワイン 50ml
- チーズ(ハードタイプ) 150g
- オリーブオイル
- ローリエ
- 塩
- 黒コショウ
- パセリ
作り方
1. ブロスを作る。冷凍ポルチーニ茸を洗い、砂や葉を落とす。ニンジンは皮を剥き、大きめに切る。セロリ、ニンジン、タマネギ半分、ニンニク、ローリエ、黒コショウ、塩を鍋に入れる。鍋に水を入れ、火にかけ、沸騰させる。沸騰し始めたら、火を弱め、蓋をする。
2. 乾燥ポルチーニ茸をいくつか手にとり、粉状にする。
3. 別の鍋にオリーブオイルをたっぷり入れ、タマネギとニンニク、乾燥ポルチーニ茸を中火にかけ、きれいな焼き色がつき、柔らかくなるまで炒める。
4. そばの実を加え、2〜3分かき混ぜながら炒める。
5. 火を強め、ワインを加える。泡になり、飛び散るので注意すること。ワインが染み込むまで煮る。
6. ブロスを少量加え、そばの実に吸収されるよう煮る。
7. そばの実が柔らかくなるまで、15分から20分かけて、ブロスをさらに加えていく(お好みの柔らかさになるよう調節する)。
8. グレチョットを煮ている間に、茹でたポルチーニ茸とニンニク1片、バター、ローリエを熱した鍋に入れて炒め、少量をそばの実に加える。残りは盛り付けに使う。
9. そばの実のリゾットが完成したら、火を弱め、パセリ、チーズ、ブロス、バターを入れ、塩コショウで味を整える。グレチョットをもう1分から2分煮る。
10. グレチョットを熱い状態で盛り付け、残りのポルチーニ茸、チーズ、唐辛子、少量のオリーブオイルを添える。どうぞ、召し上がれ!