毎年、新年とクリスマス前の時期になると、お祝い前のウキウキした気分で、新しいレシピにトライする。コヴリシカのレシピは新しいレシピではまったくない。スラヴのハニーブレッドは9世紀ごろから作られていたものだが、いまでもとても人気がある。ハチミツ、スパイス、ココア、グレーズ。伝統的なロシアの甘いパンには冬の休暇に必要なすべてが詰まっている。
コヴリシカというネーミングは、一片のパンを意味する古代ロシア語の「コヴリガ」に由来する。これが大きな塊で焼くコヴリシカと、一般的には小さくさまざまな形で作られるロシアのもう一つのハニーブレッドである「プリャニク」との大きな違いである。
コヴリシカは常にお祝いの席を彩る一品であった。バターと卵を加えたいわゆる「贅沢コヴリシカ」は様々なお祝いのときや大規模なイベントの際に焼かれた。伝統的なものとは少し違う、動物性由来の食材を除外したコヴリシカは精進の時期にも作られた。しかしいずれにしても、一番重要な材料はハチミツである。ハチミツは独特の風味と独特の食感を与えてくれるだけでなく、コヴリシカを柔らかくし、また数週間にわたって鮮度を保ってくれる。
コヴリシカのレシピは文字通り、数十通りある。いくつかのレシピでは、砂糖をまったく加えずハチミツだけで作ったり、またコヴリシカの間に挟むフィリングも、甘くてクリーミーな煮詰めた煉乳から、さまざまなヴァレーニエやジャムまで様々あり、そしてドライフルーツやベリーやナッツを生地に練り込む方法も人気がある。形についても同様で、とりわけ印象深いコヴリシカの形は「遊歩道」と呼ばれるもので、表面がまさに石畳のように見える。
今年の休暇に、わたしは一番おいしいハニーブレッドである、キャラメルのフィリングを詰めたチョコレートのコヴリシカを作ってみたい。ココアパウダーがスパイシーなハニーブレッドの味に深みを与え、最高のパンにしてくれる。
1. 生地のためのシロップから始める。鍋に砂糖と水を入れ、絶えず混ぜながら、弱めの中火で沸騰させる。砂糖が溶け、沸騰しかけたらすぐに火から下ろす。
2. ハチミツ、バター、塩、スパイスを加え、均等になるまでかき混ぜ、室温まで冷ます。このレシピではそばの実のような黒っぽい色のハチミツを使うと色合いもよく、味わい深いコヴリシカになる。
3. 次に、卵を加え、もう一度、泡立て、どろっとさせる。
4. きれいな大きめのボウルにふるった小麦粉、ココア、ベーキングパウダーを入れ、シロップを注ぎ、木のスプーンで混ぜる。
5. なめらかでどろっとしたダマのない生地ができていればよい。この段階でベタついているように感じた場合は、小麦粉を加えずに、冷蔵庫で10分ほど休ませると、手にくっついてくることはない。
6. 生地を2等分する。片方の生地を手に取り、指で少量ずつちぎり、丸めてベーキングシートを敷いた天板に並べていく。丸めた生地がつながるように置くこと。
7. 丸めた小さな生地で「遊歩道」のような長方形を作る。ここでは6つ並べたラインを4つ作る。丸の大きさは変えてもよい。
8. 2等分した生地のもう半分は、パーチメント紙の上に広げ、めん棒、または手で、先ほどの長方形の大きさに伸ばす。生地にフォークで穴を開ける。
9. 両方のコヴリシカを焼く。180℃のオーブンで20分から25分焼き、焼きあがったら冷ます。
10. その間にグレーズを作る。鍋に水と砂糖を入れ、弱火で沸騰させる。砂糖が完全に溶けていることを確認したら、火から下ろし、レモン汁を加えて、もう一度混ぜ、室温まで冷ます。
11. 両方のコヴリシカに、ブラシを使ってグレーズをふんだんに塗ったら、1分ほど休ませる。
12. 2枚の生地を合わせる。平らな生地の上に、ドゥルセ・デ・レチェ またはキャラメルミルクを広げ、上から丸い石畳の生地を乗せ、数時間以上、置いておく。キャラメルの代わりにジャム(アプリコットや柑橘系がオススメ)を使っても、酸味のあるおいしいコヴリシカに出来上がる。
13. スライスして、紅茶と一緒に召し上がれ。
プリヤートナヴァ・アペチータ!!
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。