ロシア人は昔からベリー類が大好きで、料理にも使ってきたが、何十種類もあるベリー類の中でもブルーベリーは間違いなく、もっとも人気のベリーの一つである。ブルーベリーがそんなに特別なのは、森の中だけで採れる、つまり純度100%の天然だからである。そんなわけで、野イチゴとともにブルーベリーは古代ルーシの時代からもっとも好まれ健康にも良いとされている。さらに、スラヴ人に伝わる知恵の中に、「テーブルにブルーベリーが盛られている家は医者を必要としない」というものがある。英語で言うところの「1日1個のリンゴは医者いらず」という諺のようなものである。
ロシアの森のブルーベリーの季節はとても短く、大体7月から9月初めまでである。わたしはいつも8月からシーズン終わりまで摘みに行くようにしている。なぜなら、この時期のブルーベリーは甘くて濃い味になるからだ。若いブルーベリーはとても水っぽい。そして基本的に摘んだものはそのまま食べて料理には使わない。しかし、このブルーベリーを使って焼き菓子を作ってみたら、甘いデザートをあまり好きでない人にとても好まれることが分かった。ブルーベリーは甘くて酸味がまったくないので、天然の甘味料として使え、砂糖をあまり加える必要がないのである。
ブルーベリーのケーキは決して新しいものではない。アメリカやフィンランドでは数多くの種類のケーキが作られている。しかし、ここで紹介するのは、間違いなくロシアのケーキである、というのも、スラヴ料理ではおなじみのトヴォーログの生地を使うからである。これを使うと、柔らかく、ふっくらするだけでなく、とても濃厚な味になる。わたしはクッキーから餡入りパイまでいろいろな種類のお菓子にトヴォーログを好んで使っている。もし、トヴォーログ(カッテージチーズ)とおいしいブルーベリーを幸運にも手に入れることが出来たときに、絶対に試してほしい一品である。
1. 大きなボウルにトヴォーログと室温に戻して柔らかくしたバター、砂糖、塩、バニラシュガー(またはバニラエッセンス)を入れ、スパチュラで混ぜ、トヴォーログをペースト状にする(粒の粗いトヴォーログの場合は濾す)。
2. 軽く泡だてた卵を加えて、さらに柔らかくなるまで混ぜる。卵は、つや出し用に使うので、大さじ2ほど残しておく。
3. ふるった薄力粉とベーキングソーダを加える。薄力粉の量は多少変わってくるので、まず200gから250g加えて、残りを必要に応じて足していくのがよい。生地を丸くまとめて、上から少し押し、ビニール袋に入れて、冷蔵庫で30分ほど置いておく。
4. 生地の1/3は飾りに使うので取っておき、2/3を打ち粉をした作業台に乗せ、焼き型に合わせてのばす。忘れずに縁を作る。
5. フィリングに取り掛かる。ベリーに砂糖とコーンスターチをふりかける。甘さはお好みで調節する。汁気が出ないよう、この作業は生地にのせる直前にすること。赤いスグリまたは季節のベリーをブルーベリーに加えると、ベリーの風味が豊かになる。冷凍のベリーを使う場合は、調理するまで解凍しないこと。
7. フィリングをパイ生地の上に広げたら、生地の飾りを作る。ここでは、シンプルに編んで、縁から縁の間に置く。
8. 溶き卵をパイの表面に塗り、オーブンに入れる。
9. 190度で30分から35分、表面が色づくまで焼く。焼きあがったら、取り出して、クーリングラックの上に乗せて、数時間置いておく。焼きあがったときは、フィリングの汁気が多いので、カットする前に十分冷やすこと。ロシアスタイルのブルーベリーパイは淹れたての紅茶とよく合う。
プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)
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