鹿肉で作る最高のロシア料理(レシピ)

ロシア料理
ヴィクトリア・リャビコワ
 北方の民族にとって、鹿肉は珍味でも贅沢品でもなく、ごく普通の食べ物である。ロシア北方の真の恵みはどのようにして調理すればいいのか?ムースマンスク州のレストランのシェフたちにレシピを訊いた。

1. 鹿肉のポフリョプカ

レストラン「M–クラブのブランド・シェフ、マクシム・ガレツキー(ムールマンスク)

 鹿肉のスープは、北極地方の伝統料理である。鹿肉はダイエットに良いとされているが、スープはかなり具沢山で重めである。薪で煮込んだスープは、かつて北方の狩猟者たちに力を与えたのである。

作り方:

1. ブイヨンを煮る前に、セロリの根(80g)とタマネギ(160g)を炒める。                          

2. セロリの根とタマネギ、鹿肉のフィレ(240g)を鍋に入れ、水1.5リットルを注ぎ、ジュニパーベリー(8g)、黒コショウ、塩、ローリエの葉、タイムを加える。

3. ブイヨンは弱火で1時間から2時間かけて煮込む。肉は取り除き、ブイヨンは濾す。

4. 濾したブイヨンを沸騰させ、角切りにしたジャガイモ(160g)、炒めたタマネギ、取り出した鹿肉を加えて、ジャガイモが柔らかくなるまで、弱火で15分から20分煮込む。出来上がる10分前にコケモモ(100g)を加える。      

5. そのあと、バターを敷いたフライパンで生のソバの実(130g)を2~3分炒め、タイム、ローズマリーを加え、ブイヨン(300ml)を注いだら、10分から12分煮る。

6. お皿に炒めたソバの実を置き、そこにスープを注ぐ。      

 

2. 鹿肉のペリメニ                        

テリベルカの観光複合施設「テリベルスキー・べレクのオーナー、セルゲイ・ビクサレーエフ、ユリヤ・ビクサレーエワ(ムールマンスク州)

 バレンツ海最北のこの村に行くのは容易なことではない。ツンドラを130キロ超えなければならないからである。観光客らは大抵の場合、空腹で、疲労困憊、凍えた状態でここに辿り着く。そんな観光客の気分を上げ、風邪を予防してくれるのがこの一品である。

 

作り方:

1. 鹿肉(400g)は洗って、脂身を取り除き、肉挽き器に入る大きさに切り、豚肉の脂身40gを加える。タマネギ2個を加えて、挽き肉にしたら、ブラックペッパー少々、塩小さじ1/2、砂糖小さじ1で味を整える。            

2. 生地(卵2個、牛乳130ml、小麦粉500g)を作る。こねて、出来上がったら、20分ほど休ませる。

3. 生地をペリメニを包めるよう丸く抜く。鹿肉と脂身を挽いたものを真ん中に置き、形成し、塩を加えた熱湯で茹でる。           

4. ペリメニが浮いてきたら、取り出し、盛り付けて、香草をふって出来上がり。               

 

3. 鹿肉の蒸し煮、キノコソース添え    

ホテル「エコ・ホームのシェフ、イーゴリ・ブリスクン(ムースマンスク州)

 口触りの良いキノコのソース、蒸したアスパラガス、コケモモの爽やかな酸味が、鹿肉の蒸し煮とマッシュポテトという伝統的な組み合わせに新鮮さを加えている。シェフは、ロマンティックなディナーにぴったりだとオススメする。

 

作り方: 

1. 厚めの鍋に刻んだネギ(5~7本)、セロリ2本、鹿のもも肉400gを入れ、弱火で2時間半加熱する。1時間ごに塩、刻んだバジル1本、トウガラシ1/2本、黒コショウ(10粒)、ローズマリー1、2本を加えて、出来上がるまで蒸し煮する。              

2. 一口大にしたジャガイモ(300g)は塩を加えた水で柔らかくなるまで茹でる。フライパンに牛乳半カップを入れて温め、バターを加えたら、茹でたジャガイモと合わせ、ブレンダーにかける。

3. キノコのソースを作る。ヤマドリダケ3~4個はきれいにし、小さい角切りにし、熱湯で25分茹でる。温めたフライパンにバター小さじ1/2とキノコを入れ、お好みでキノコの濃縮ブイヨンを加えたら、沸騰させ、すぐに火から下ろす。 

4. アスパラガス7~10本も柔らかくなるまで蒸す。                 

5. コケモモのソースを作る。鍋にきれいに洗ったコケモモ(200gほど)を入れ、ブレンダーにかけ、なめらかにする。コケモモのピュレーを沸騰させ、砂糖を適宜加えて、お好みでハーブ、ショウガ、レモンピールなどを加える。中火で10分ほど煮る。ソースはとろみがでるよう、前もって作っておくこと。

6. お皿にマッシュポテトを敷き、上に鹿肉を置いて、キノコのソースをかけ、アスパラガスを乗せたら、コケモモの実とソースで飾る。

               

4. 鹿肉とキノコとパール麦の蒸し煮、ザワークラウトとコケモモ添え 

 キロフスクの北極料理カフェ「V svoei tarelke」のオーナー、カーチャ・ムン(ムールマンスク州)

 ソ連時代、パール麦はもっとも一般的で安価な穀物で、兵士たち食事にもパール麦が出てきた。ロシアの極圏初となる北極料理カフェを開いたシェフが、このパール麦を使った高級料理の作り方を教えてくれた。

 

作り方:

1. パール麦(1kg)は洗って、5時間冷水に浸けておく。

2. 植物油150gを厚鍋に注ぎ、強火にかける。鹿肉を入れたときに、すぐに焼き目が付くくらい油を熱すること。

3. 鹿肉(1kg)はペーパータオルで余分な水気をとり、大きめに切って、鍋に入れ、焼く。          

4. タマネギ300gは半分に切ってくし切りにし、鹿肉と合わせる。潰したニンニク1片とすりおろしたジュニパーベリーを加える。 

5. ニンジン(300g)は長めの千切りにし、肉とタマネギに加える。ニンジンに火が通り、柔らかくなったら、温度を下げ、肉と野菜がひたひたになるよう水を注ぐ。塩、コショウ、すりおろしたジュニパーベリーを加え、弱火で40分から50分煮る。             

6. ヤマドリダケ(200g)も千切りにし、残りのタマネギと一緒に溶かしたバターで炒める。肉にキノコを加え、混ぜずに、キノコの上から洗ったパール麦を乗せる。              

7. パール麦の表面を均し、パール麦から1.5センチ上くらいまでそっと熱湯を注ぐ。沸騰したら、すぐに中火にする。水がなくなってきたら、パール麦にトウガラシ(1本)、ローズマリー(小1本)を入れ、すりおろしたジュニパーベリー、塩を加える。

8. 残った溶かしバターを上からかけ、鍋の蓋をしっかり締めて、10分ほど弱火にかける。火を消し、15分から20分ほど置いてから、そっとパール麦を混ぜ、ザワークラウトとコケモモの実と一緒に盛り付ける。

               

5. シカのハツ、ブルーベリーとスベルトコムギ添え                 

レストランチェーン「バー・バレヴィチ」のブランドシェフ、アリョーナ・カルポワ(ムールマンスク州) 

 鹿の心臓は、シルクのような食感を持つ柔らかい珍味である。元来の味を楽しむには、レアで焼いた方がよい。

 

作り方:  

1. ハツは冷水に3時間浸し、余分な血を取り除く。筋も取り除き、ステーキの形に切る。フライパンに、バターと植物油を熱し、タイムを加え、両面を2分から2分半ほど焼く。焼きあがったらペーパータオルの上に置く。 

2. ブルーベリーのクリームを作る。ブルーベリー500gは柔らかくなるまで煮て、ブレンダーにかけ、濾す。水50mlと砂糖50gを加える。

3. 付け合わせを作る。スベルトコムギ120g(1人分)を茹で、脂肪分33%の生クリーム50mlを加え、ブルーベリークリーム(20g)を加える。

4. 飾り用に出来上がったスベルトコムギを少量とっておき、乾燥させたら、カリカリになるまで揚げる。余分な油を吸い取らせるため、紙ナプキンの上に置いておく。

5. ブルーベリークリームを少量振りかけてお皿を飾り、スベルトコムギを置いたら、上に鹿のハツを乗せ、カリカリに揚げたコムギを飾る。