かつてロシアでは大きなパイ、ピロギーを作り、家族で分け合った。大きなパイの方が手早く作れるからである。しかし、後になって、家庭の主婦たちはより小さめのピロシキを作るようになった。こうすると、家族で食べるときに分けるのが簡単で、子どものための特別なおやつや、夫が戸外で仕事をするときに持たせるのにも便利だからだ。
中に詰める具材は季節によってさまざまである。魚や肉、カッテージチーズ、キノコ類、野菜などだ。そばの実や他の穀類を入れることもある。夏になると、ロシア人は新鮮なフルーツやベリー類、ジャムも具材として使う。
訪問客を出来るだけ驚かそうと、作る人は趣向を凝らす。形も、丸いもの、楕円、四角、三角などさまざまで、また上面に穴を開けることもあった。祖母はもっぱら丸いもの、母は両端を少し尖らせた形のものを作った。そしてわたしは楕円形の、いわゆる「ロードチカ」(小舟)、あるいは「ヨーロチカ」(もみの木)などと呼ばれるものを作る。「ヨーロチカ」は表面にジグザグ模様をつけたものだ。
ここで紹介するのはクラシカルな夏の具材にいまどきの味を加えたもの。2種類の形で作ってみよう。
生地:
リンゴのフィリング:
チェリーのフィリング:
ベリーのフィリング:
つや出し用:
生地の材料をすべて(油以外)ミキサーのボウルに入れ、一番低いスピードでこねる。2分したらスピードを上げ、さらに5分こねる。手でこねてもよい。
スピードを再び最低にし、油を加える。油が多すぎるように感じるくらいでちょうどよい。
10分こねて、すべてをよく混ぜ合わせる。
生地ができたら、ラップで覆い、室温で30分ほど休ませてから、冷蔵庫に入れ、1時間半から2時間寝かせる。この間に具材を作る。
リンゴは芯を取り除く。
洋梨は皮を剥き、芯を取り除く。
リンゴと洋梨は1センチ角に切り、ボウルに入れ、色が変わるのを防ぐためレモン汁を加えておく。
バニラパウダー、シナモン、レモンゼストを加える。
砂糖を入れる。
お玉杓子にバターを入れて溶かす。
弱火にかけ、10分煮る。リンゴと洋梨が形が崩れない程度に柔らかくなればよい。出来上がりの直前にスプーン1杯のコーンスターチを入れ、とろみをつける。火から下ろし、冷ます。
サクランボは種を取り除く。
ボウルに入れ、ライムゼスト、スターアニス、砂糖、コニャックを加え、火にかける。
10分ほど煮る。出来上がる直前にコーンスターチを加える。火から下ろし、冷ます。
ベリーは小さく刻む。
砂糖、レモンゼスト、ローズエッセンスを加え、火にかけ10分ほど煮る。
出来上がる直前にコーンスターチを加え、余分な水分を捨てる。火から下ろし、冷ます。
コーンスターチはフルーツから水分が出ないよう、とろみをつけるために使う。コーンスターチを加えてもまだ水っぽいようなら、コーンスターチをさらに加えて、もう1分煮るとよい。コーンスターチを加えた後は混ぜ続けること。
生地を冷蔵庫から取り出し、丸くまとめる。
45グラムくらいずつの塊にし、丸める。20個くらい作る。
残った生地はラップで包んだら30分ほど休ませ、さらに膨らませて室温に戻す。
テーブルに乗せ、手で平らにする。打ち粉はしなくても、扱える。
リンゴを表面に乗せる。
両端を伸ばすように引っ張り上げ、上でくっつける。
指で筋をしっかり押す。
具材が出てこないよう生地と生地を閉じて模様を作って、「ヨーロチカ」(もみの木)の形にする。
ベーキングシートの上に、柄が下になるようパイを乗せる。これが小舟形になる。
つや出し用の卵を全体に塗り、オーブンに入れ、190℃で20分から30分焼く。
サクランボのフィリングも同様にする。
ベリーのフィリングは閉じやすいよう大さじ1弱にする。
ベリーのパイは「ヨーロチカ」の形で作る。
リンゴ8個、サクランボ5個、イチゴ7個ができる。生地が残ったら、残った具材を入れて作る。
では、ロシア式ピクニックを楽しんで!
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