オーブンで蒸し煮するサクランボと子牛のシチュー:チェーホフの時代のごちそう(レシピ)

ロシア料理
マリア・アフォニナ
 ちょっぴり酸っぱいサクランボが手に入ったら、子牛を使って魅惑的な料理を作ってみよう!

 「ロシア人はサクランボが大好きで、甘いものと酸っぱいものでまったく違う呼び方をするくらいである」。アメリカ人作家ダラ・ゴールドスタインは自身の料理本「北風の向こう側:レシピと伝承のロシア(Beyond the North Wind: Russia in Recipes and Lore)」でこう書いている。彼女によると、ロシアでほんとうに好まれているのは酸っぱいサクランボで、著名なロシア人作家チェーホフによる戯曲「桜の園」で描かれている破滅は、人生のすべてを失うことを象徴しているのは疑いようもないことだとしている。

 著書「北風の向こう側」で、ゴールドスタインは19世紀にエレナ・モロホヴェツが出版した料理本、「若き主婦への贈り物」のレシピを基にした彼女なりのサクランボと子牛のビーフシチューを紹介している。オリジナルのレシピでは、ローストした子牛のロイン肉をマデイラ酒とサクランボのシロップで蒸し煮するが、ダラ・ゴールドスタインが考案したのはより家庭的でアルコールを使わないものだ。

 「他のシチューと同じように、時間とともに味が良くなるので、わたしはいつも早めに作っておいて、食事の直前に温めなおすようにしている。子牛肉はパセリ、茹でたジャガイモ、エッグヌードルとよく合う」とダラは言う。

材料(4人分)

 

作り方

1. ボウルに子牛を入れ、塩コショウしたら、小麦粉をふりかける。3リットルの耐熱ガラスのキャセロールにバターを塗ったら、肉の表面が色づくまで、2回に分けて焼き、置いておく。

2. オーブンを180度に予熱する。サクランボを中鍋に入れ、水、ハチミツ、シナモンスティック、カルダモン、ローリエを入れ、かき混ぜる。蓋をして、10分煮る。

3. 表面を焼いた子牛にサクランボソースをかけ、キャセロールに蓋をしたら、弱火で沸騰させてからオーブンに入れる。子牛は柔らかくなるまで1時間半から2時間ほど蒸し煮にする。出来上がったら、お皿に注ぎ入れ、パセリをふりかける。温かいうちにいただく。 

*レシピは著者の承諾を得て、ダラ・ゴールドスタイン著「Beyond the North Wind: Russia in Recipes and Lorecopyright © 2020. Published by Ten Speed Press, an imprint of Penguin Random Houseより借用した。