かつてロシアでは大きなパイ、ピロギーを作り、家族で分け合った。大きなパイの方が手早く作れるからである。しかし、後になって、家庭の主婦たちはより小さめのピロシキを作るようになった。こうすると、家族で食べるときに分けるのが簡単で、子どものための特別なおやつや、夫が戸外で仕事をするときに持たせるのにも便利だからだ。
中に詰める具材は季節によってさまざまである。魚や肉、カッテージチーズ、キノコ類、野菜などだ。そばの実や他の穀類を入れることもある。夏になると、ロシア人は新鮮なフルーツやベリー類、ジャムも具材として使う。
訪問客を出来るだけ驚かそうと、作る人は趣向を凝らす。形も、丸いもの、楕円、四角、三角などさまざまで、また上面に穴を開けることもあった。祖母はもっぱら丸いもの、母は両端を少し尖らせた形のものを作った。そしてわたしは楕円形の、いわゆる「ロードチカ」(小舟)、あるいは「ヨーロチカ」(もみの木)などと呼ばれるものを作る。「ヨーロチカ」は表面にジグザグ模様をつけたものだ。
ここで紹介するのはクラシカルな夏の具材にいまどきの味を加えたもの。2種類の形で作ってみよう。
材料
生地:
- 小麦粉 485g
- 牛乳 250ml
- 卵 1個
- 砂糖 大さじ4
- 塩 小さじ1
- ドライイースト 7g
- ナツメグ 小さじ1/4
- バニラエッセンス
リンゴのフィリング:
- リンゴ 3個
- 洋梨 大1個
- バター 50g
- バニラシードまたはバニラパウダー 小さじ1/2
- シナモン 小さじ1/4
- 砂糖 大さじ3
- レモン汁またはレモン1/2個
- レモンゼストまたはレモン1個
- コーンスターチ 大さじ2
チェリーのフィリング:
- サクランボ 250~300g
- ライムゼスト
- スターアニス 2個
- 砂糖 大さじ2
- コニャック 大さじ2
- コーンスターチ 大さじ2
ベリーのフィリング:
- イチゴ 150g
- ブルーベリー 150g
- 砂糖 大さじ3
- ローズエッセンス 小さじ1/2
- レモンゼスト
- コーンスターチ 大さじ2
つや出し用:
- 卵1個と牛乳大さじ2を混ぜたもの
作り方
生地の材料をすべて(油以外)ミキサーのボウルに入れ、一番低いスピードでこねる。2分したらスピードを上げ、さらに5分こねる。手でこねてもよい。
Yulia Mulino
スピードを再び最低にし、油を加える。油が多すぎるように感じるくらいでちょうどよい。
Yulia Mulino
10分こねて、すべてをよく混ぜ合わせる。
Yulia Mulino
生地ができたら、ラップで覆い、室温で30分ほど休ませてから、冷蔵庫に入れ、1時間半から2時間寝かせる。この間に具材を作る。
Yulia Mulino
リンゴは芯を取り除く。
Yulia Mulino
洋梨は皮を剥き、芯を取り除く。
Yulia Mulino
リンゴと洋梨は1センチ角に切り、ボウルに入れ、色が変わるのを防ぐためレモン汁を加えておく。
Yulia Mulino
バニラパウダー、シナモン、レモンゼストを加える。
Yulia Mulino
砂糖を入れる。
Yulia Mulino
お玉杓子にバターを入れて溶かす。
Yulia Mulino
弱火にかけ、10分煮る。リンゴと洋梨が形が崩れない程度に柔らかくなればよい。出来上がりの直前にスプーン1杯のコーンスターチを入れ、とろみをつける。火から下ろし、冷ます。
Yulia Mulino
サクランボは種を取り除く。
Yulia Mulino
ボウルに入れ、ライムゼスト、スターアニス、砂糖、コニャックを加え、火にかける。
Yulia Mulino
10分ほど煮る。出来上がる直前にコーンスターチを加える。火から下ろし、冷ます。
Yulia Mulino
ベリーは小さく刻む。
Yulia Mulino
砂糖、レモンゼスト、ローズエッセンスを加え、火にかけ10分ほど煮る。
Yulia Mulino
出来上がる直前にコーンスターチを加え、余分な水分を捨てる。火から下ろし、冷ます。
Yulia Mulino
コーンスターチはフルーツから水分が出ないよう、とろみをつけるために使う。コーンスターチを加えてもまだ水っぽいようなら、コーンスターチをさらに加えて、もう1分煮るとよい。コーンスターチを加えた後は混ぜ続けること。
生地を冷蔵庫から取り出し、丸くまとめる。
Yulia Mulino
45グラムくらいずつの塊にし、丸める。20個くらい作る。
Yulia Mulino
残った生地はラップで包んだら30分ほど休ませ、さらに膨らませて室温に戻す。
Yulia Mulino
テーブルに乗せ、手で平らにする。打ち粉はしなくても、扱える。
Yulia Mulino
リンゴを表面に乗せる。
Yulia Mulino
両端を伸ばすように引っ張り上げ、上でくっつける。
Yulia Mulino
指で筋をしっかり押す。
Yulia Mulino
具材が出てこないよう生地と生地を閉じて模様を作って、「ヨーロチカ」(もみの木)の形にする。
Yulia Mulino
ベーキングシートの上に、柄が下になるようパイを乗せる。これが小舟形になる。
Yulia Mulino
つや出し用の卵を全体に塗り、オーブンに入れ、190℃で20分から30分焼く。
Yulia Mulino
サクランボのフィリングも同様にする。
Yulia Mulino
ベリーのフィリングは閉じやすいよう大さじ1弱にする。
Yulia Mulino
ベリーのパイは「ヨーロチカ」の形で作る。
Yulia Mulino
リンゴ8個、サクランボ5個、イチゴ7個ができる。生地が残ったら、残った具材を入れて作る。
Yulia Mulino
では、ロシア式ピクニックを楽しんで!
Yulia Mulino